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2015年前半の「一服いかが?」



2015年2月6日(金) <アントワネットちゃんの置き土産>

2015年2月12日(木) <ナツメヤシ根付きました>

2015年2月13日(金) <未年の計画>

2015年2月16日(月) <「小さな家」の入居者、決まりました!>

2015年2月24日(火) <やっとわが家も平常運転…かな>

2015年3月6日(金) <おかげさまで平和です>

2015年3月21日(土) <ハチドリの雨宿り>

2015年4月5日(日) <聖週間はちょっとのんびり>

2015年4月23日(木) <ペルー料理の病院食(@_@;)>

2015年5月2日(土) <いろいろ修理続行中…>

2015年5月9日(土) <植物には負けるわ…>

2015年6月10日(水) <先に糸杉>


2015年2月6日(金) 午後1時の室温29.2℃ 湿度71% 外気温31.2℃ 快晴!
<アントワネットちゃんの置き土産>


 1月末、とうとうアントワネットちゃん一家が「小さな家」を引き払ってくれました!
 ありがたいことにすべて過去となりましたので、今日はぜんぶお話ししちゃおうと思います。


 決定的な事件が起きたのは、昨年の12月7日、静かな日曜の晩のことでした。
 市場めぐりのあと、私たちがやれくたびれたと一服していたら、とつぜん大きな物音がして、半狂乱のヨシコちゃん(16歳)が駆け込んできました。かわいそうに顔を真赤に泣き腫らし、髪も振りみだし、よほど慌てたのか裸足でした。


 この晩、ヨシコちゃんが「小さな家」で宿題をしていると、とつぜん母アントワネットちゃんが「この家から出ていけ!」とどなり始めたそうです。それもいつになく執拗だったので、リマ市内の親戚の家に行こうと考え、黙って荷物をまとめ始めると、今度は「私の金の首飾りがない、おまえ盗んだろう!」と言いがかりをつけ、その荷物をぶちまけたそうです。

 そして、「今日こそは本当に出て行くように殴ってやる!」と、小学校の卒業記念の額をヨシコちゃんの頭で粉砕し、次いで箒をつかむと、それで何度も背中を殴りつけてきたので、あまりの恐怖に裸足で逃げてきた…とのことでした。
 ヨシコちゃんが何とか落ち着きを取り戻し、起きたことを説明できるようになるまで、1時間以上かかりました。


 長年のペルー生活のおかげで、もはや大抵のことでは驚けない私ですが、このときは本当に動揺しました。子供のころの記憶がよみがえり、ヨシコちゃんの心身の痛みがわかりすぎ、しばらくは声も出ませんでした。
 しかしどう考えても、私たちにできるのは、わずかな助言だけなのです…


 「もしヨシコちゃんが学校を終えたいなら、今はお母さんのところにいるしかないよね…?
 叔父さんや叔母さんたちは、どんなに親切めいたことを言っても、本心では安い労働力がほしいだけ。
 引き取ってくれたとしても、結局店の手伝いや子守りをさせられるだけなのは、ヨシコちゃんもすでに経験して知ってるでしょう。


 だから勉強をとるなら、成人する18歳までのあと二年、耐えるしかないと思うけど、暴力はどんどんエスカレートしがちだから、その怖さはきちんとわかってほしい。
 とにかく自分が先に大人になるしかないの。できるだけ良い子のふりをして、お母さんを刺激しないこと。それ以外に、今とりあえず身を守る方法はないと思うから。
 でも今後もし、怪我をしそうなほどの暴力が始まったら、すぐにうちか近所の診療所へ逃げ込まなくてはだめよ…」


 子供への虐待が、まだまだ正当な教育の一部とみなされているペルーでは、相談できる場所は多くはないですし、世間の理解もまったくありません。もし今、私たちが下手に事を荒立てても、結局はヨシコちゃんが行き場を失うだけです。
 だからこれ以上のことはなにもしてあげられないし、赤の他人である以上、すべきでもないのです。
 とはいえ、なんという無力感でしょう…


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 アントワネットちゃんが去ったあとの、「小さな家」の菜園。
 トウモロコシのあいだに、セロリや唐辛子、豆類がびっしり植えてあるのは、まさにアンデス式農法です。
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 これはアヒ・アマリージョかな(ペルー独特の黄色いトウガラシ)。
 トウガラシは病気にかかりやすいので、何度も失敗したようでした。
 それがやっとうまく育ち始めたと、アントワネットちゃんが嬉しそうに話していたのは、つい最近のことだったのですが… 思えばそれが、彼女から聞いたさいごの、明るく前向きな言葉でした。



 この事件のだいぶ前から、「小さな家」には不穏な空気が漂っていました。
 アントワネットちゃんによると、「猫番君にとつぜん殴られた、もう一生許さない!」とかで、夫婦はもう何週間も口をきいていない、という話でした。


 あの温厚な猫番君がまさか?…と、私たちはさいしょから疑っていましたが、やはり真実は微妙に違ったようです。
 ある晩口論の末、アントワネットちゃんが大きなコーヒーカップを取り上げ、猫番君の頭で叩き割ったので、さすがの猫番君も反射的に手が出た、ということだったようです。(自分より10キロも大きな奥さんですから、正当防衛ですね…)
 アントワネットちゃんはつねづね、「自分はたしかに身内に厳しいほうだけど、暴力だけはぜったいにふるいません!」と自慢していたのでしたが…


 翌日、彼女と話し合いをしました。…いえ、話し合おうと努力しました。
 子供に対する虐待とはなにか、というテーマを持ち出したとたん、アントワネットちゃんの態度が一変しました。
 いつもの愛想の良さは掻き消え、ぐいっと獅子鼻を持ち上げたアントワネットちゃんの顔には、今まで見たことのない挑戦的で傲慢な表情が浮かんでいました。


 ああこれは、なにを言っても無駄…と悟りましたが、それでもいちおう常識の確認を試みました。
 未成年の子供に対し、日常的に「食事がしたいなら先に代金を払え」「家から出ていけ」等々どなるのは(それはアントワネットちゃんが、猫番君不在の週末ごとにやってきたことですが)、立派な虐待だということ。
 さらには昨晩のような身体的虐待に至っては、家主兼雇い主としては、もはや見逃すことはできない、ということ。


 …とここで、押し黙っていたアントワネットちゃんが、とつぜん叫びました、
 「私だって祖母から毎日殴られ、ののしられて育った!それでも私は、育ててくれた祖母に感謝してます!」


 これは胸にぐっと来ました、アントワネットちゃんのふてぶてしさに強い不快感をもちつつも、同時にたまらなくかわいそうになりました。
 典型的な、虐待の母娘相伝ですね… 彼女が抱えているのは、素人の手に負える問題ではないことが明らかになりました。それでもさいごまで話はしなくてはなりません。


 そこで続けて、「もし次回、ヨシコちゃんが怪我をするような事態が起きたら、私たちは警察に通報するほかないので、どうかそういうことが起きないよう…」と言いかけたところで、早とちりしたアントワネットちゃんが間髪いれず叫びました、「結構ですとも!」と。
 その瞬間、アントワネットちゃんへの同情の気持と、まだ残っていた信用は、霧散しました。


 ふつうなら、「昨晩はお騒がせしてすみませんでした、もう二度とこういうことは起きませんから、今後ともよろしくお願いします」とでも言うべきでしょうに、アントワネットちゃんには反省や後悔の色は皆無です。
 だからこの「結構ですとも!」も、「私は今後も娘を殴りつづけるから、あなたがたは正しいと思うことを勝手にすればいい」という意味にしか取りようがありません。万事休す、です。



 さてこうなると、さいごの希望は(あまりにも弱々しく頼りない希望ですが…(^_^;))、めったに「小さな家」には戻ってこない猫番君です。
 宿六が状況を説明しましたが、猫番君もまた、「母親が言うことを聞かない子を殴ってなにがわるい?どうしてそんな騒ぎになってるのかわからない…」という程度の考えしかないようでした。


 それでもせめて猫番君が、アントワネットちゃんをもう少し大事にすれば、年末年始だけでも「小さな家」に平和が訪れるかもしれない…と考えた宿六は、前のクリスマスのことを持ち出しました。

 「去年は猫番君、きみがイブも帰ってこなかったから、そのあと彼女はすっかり不安定になって10キロ以上太ったし、ヨシコちゃんとの関係も一気に悪化したんだよ。
 君たちは当初、『静かな環境で仲よく暮らして、本当の家族らしくなりたい』と言ったから、私たちも受け入れることにした、という経緯を思い出してほしい。だから今度のクリスマスは、ヨシコちゃんの安全のためにも、三人で仲よく過ごしてほしいのだけど、どうだろうか?」


 対する猫番君の返事は、まじめなのかふざけているのかわからない、こんな言葉でした。
 「うちのあの奥さんとクリスマス?!……ははは、そりゃあさぞ楽しいこってしょう!」



 これで私たちの気持ちは固まりました。
 ペルーでの数えきれない落胆と絶望と涙(ほんとにそうよ!)の上に築いた今の暮らしを、この二人の無責任な大人に、ひっかきまわさせておくわけにはいきません。これはもう出て行ってもらうしかありません。


 たださすがにクリスマス前に言い渡すのは、人として抵抗があります。
 またアントワネットちゃんがよく働いてくれたのは事実なので、年末のボーナスと休暇はあげたいですし、ヨシコちゃんの期末試験が終るのも待たないとなりません。
 そこで宿六と話し合い、とりあえず年明けまでは保留としよう、と決めたのですが、私の苦難の日々はそこから始まりました(笑)


 アントワネットちゃんの仮面が落ちる瞬間を見たあとでは、ふだんの彼女の猫なで声すら、もうどうにも耐えがたいのです。私はもともと、この手の裏表のある人がいちばん苦手ですが、それが同じ敷地内に住んでいるという状況は……
 私よりずっとでかくて暴力をふるう女中さん、というだけでも身の危険を感じるのに、生理的嫌悪感も伴って、どんなに顔を見ないようにしていても、毎日息がつまりそうでした。


 …思えばアントワネットちゃんは最初に会ったときから、あまり良い印象は受けなかったのです。
 おととし猫番君に「小さな家」に来る気はないか?ともちかけたとき、一家は驚きの素早さで越してきました。
 条件を詰める暇もなく、あれよあれよというまに大荷物が持ち込まれ、簡単には出ていけない雰囲気になったところで、やっと私たちはヨシコちゃんに引き合わされ、その年齢不相応な大人っぽさに仰天したのでした。


 そこに追い打ちをかけたのが、アントワネットちゃんの爆弾発言でした。
 「もしフルタイムの仕事をもらえないなら、私はこの危なっかしい娘をひとりここに置き、自分は外で住み込みの女中をします」…あとから考えると、これは完璧な脅迫でした。
 でも私たちは猫番君が気の毒なあまり、ずるずる状況に流され、大して必要のない女手をフルタイム雇用する羽目となりました。
 (この家では男性の仕事のほうが多いので、ほんとは猫番君を雇いたかったのです。でもそうしたら最後、アントワネットちゃんはどこかに消えてしまい、猫番君と妙に色っぽい継娘だけが「小さな家」に残ることになりかねず…)


 アントワネットちゃんには腕力があって、ほとんど男手に近い働きをしてくれたので、何もかも大失敗だった、というわけではありません。彼女は手を休めるのが大きらいな働き者ですし、私たちもその意味では満足していました。
 しかしその後も、猫番君の仲人口がどんなに嘘だらけだったか、つぎつぎと明かされて、私たちを大いに悩ませたのでした…


 猫番君によれば、「とても責任感の強い女性」のはずだったアントワネットちゃんは、実は娘が2歳のときに育児放棄し、送金などは言うもおろか、娘に会うのも数年に一度だったらしく、ヨシコちゃんとは前年に初めて同居を始めたばかりだったのでした。
 また猫番君いわく「ごく大人しい少女」のはずのヨシコちゃんは、13歳にして出奔、一年以上行方不明という過去があったことがわかりました…


 私たちは知らないうちに、うまくいく保証など全くない、とんでもない実験的同居家族を迎えてしまっていたのです。

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いま満開のマラクーヤ。
要は時計草ですから、花がとってもきれいです。
すっぱくて香り高い果実も、つぎつぎと実っています。

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インゲン豆ってこういうふうになるんですね…初めて見た…

 ただ幸い、最も懸念されたヨシコちゃんは、うちに住んでいた間中きちんと学校に通い、私にもけっこう懐いてかわいく思っていました。
 でも、家出中にどんな連中と関わりがあったか、わからないのはとてもこわいことです。
 ペルーの場合、麻薬関係者がお友達で…という可能性もじゅうぶんあり得ますから、もし過去の家出を知っていたら、決して家には入れていませんでした。それは当地の常識です。


 猫番君に悪意がなかったのはわかっていますが、やはり他人を巻き込む嘘の上に、安穏な幸せは築けない、ということですね…

 さて、年があけると、アントワネットちゃんのほうから「休暇を15日まとめて取りたい」と言って来ました。
 おお、田舎に帰ってくれるのか!と一瞬喜びましたが、ぬかよろこびでした。ずーーっと「小さな家」で休養する、というのでガックリ…でしたが、会わずにすむだけでも、だいぶ助かりました。


 そして1月半ば、そろそろ潮時だろうと、今月中に出て行ってほしい旨、宿六から二人に伝えました。理由は「職場での暴力行為」です。
 猫番君は終始落ちついた様子で、丁寧に今までのことを感謝したそうです。いっぽうアントワネットちゃんは、一言の文句も感謝も謝罪もなく、ただ宿六が前に無利子で立替えてあげた冷蔵庫の、保証書と領収書をよこせ、と言っただけだったそうです。


 さらに半月の重苦しい日々がゆっくりゆっくり過ぎて、とうとう待ちかねた1月31日がやってきました。
 私は顔を出しませんでしたが、アントワネットちゃんは別れ際、あろうことか「急な解雇に対する慰謝料」を請求してきたそうで、さすがの温厚な宿六も血の気が引くほど怒っていました。
 もちろん法律通り、働いた年月に対応する退職金は出します。しかし自分の暴力で解雇された人が、雇い主に慰謝料を請求するとはまあ……こっちがもらいたいくらいですわい。もちろん却下。


 しかしこうして憎たらしい態度を貫いてくれたおかげで、みじんも後悔や慙愧の念が湧いてこないのは、とてもありがたいです。
 もちろん猫番君はさいごのさいごまで丁寧で、ヨシコちゃんもお別れのとき、宿六にちょっと笑ってみせたそうで、それを聞いてほっとしました。若さと体力に満ち満ちたヨシコちゃんなら、きっとあの強烈な母にも負けず、自分で活路を見出してくれるに違いありません。


 …そしてついに引越しトラックが門を出ていったときの、あのすばらしい解放感ときたら!(ああもともと私の家なのに!)


 ところでそのトラックは、彼らの家財道具があまりに多かったので、さいごのおせっかいで手配してあげたのですが…… 引越し先はえらく近くて、うちの門からわずか80メートルの、貸し間の看板が出ている家でした!
 …ええええ?二人ともパチャカマック、大嫌いだったんじゃないの?!
 「パチャカマックは物価は高いし、何もかも遠いし、猫番君の仕事はないし…」と、どれだけ不満を聞かされたことでしょう。だからすぐにもリマ市内に戻るのかと思ったら、うちから80メートル、ですか…


 思うにアントワネットちゃんは、不満を糧に前進していくタイプなのかもしれませんね。
 それはそれで推進力のある生き方かもしれませんが、私はもう心が疲れ果てましたので、こういう不平居士だけは二度とごめんです。ちゃらんぽらん系が多いペルーでは、珍しいタイプでしょうに、なぜよりによってうちに当たったのやら…


 そういえば、「小さな家の庭には、ろくに何も実りゃあしません!」ともよく文句をたれていたので、退去後さっそく覗いてみました。アントワネットちゃんの家と思って尊重し、近づかないようにしていたので、中に入るのは一年半ぶりです。
 すると一面の緑で、唐辛子は数種類がつやつやの実をつけ、何十本あるかわからないトウモロコシはもうすぐ収穫期のようです。パパイヤも大きな実がついていて、バナナもすくすく育ち、マラクーヤ(パッションフルーツ)のきれいな花が咲き乱れ、セロリや各種ハーブは売るほどあるしで、ちょっとした楽園状態です。


 私たちにしてみれば、家の一角を占めていた敵地をついに奪還!というかっこうです。
 イサベル女王がアランブラに入城したときも、こんな気持ちだったのかも。なんて。


 アントワネットちゃんは、「小さな家」の備品だったはずのLED球のスペアやシャワーカーテン、ゴミ箱、仕事用の防水着等々、ありとあらゆるものをさらって去って行きましたが(笑)、さすがに実りかけの農作物は持ち出せなかったようです。
 盛夏のいま、じきにすべてが食べごろに育つので、それまでに次の住人が決まるといいなあ…と思っております。(私たちは食べるとなんか当たりそうなので、手は出しません、水だけやっています)



 さてさいごなのでバラしてしまいますが、アントワネットちゃんが例のダイエットを始める直前の体重は、79キロに達していました(身長は159p)。それを本当によくがんばって、一時は70.9キロ!まで持ってくることができました。
 しかしその後、大晦日だけで3キロ近く増えてしまい、また上記の事件もあったりで、こちらも毎日計ってあげる気持ちが失せて、そのままダイエットはおしまいとなりました。


 ついでに、ハシンタ猫の恐るべき慧眼について。
 アントワネットちゃんは大の猫好きで、一年半のあいだ毎日ハシンタ猫に取り入っていましたが、無益な努力でした。ハシンタ猫は、アントワネットちゃんの影が窓の向こうにちらりと見えただけで、シャーシャー威嚇を開始するほどで、まったく彼女を受け付けませんでした。
 なのにヨシコちゃんには妙に同情的で、ヨシコちゃんが愚痴をこぼしに来るときは、いつも近くに座っておとなしく話を聞いていました。
 どうやら次に人を雇うときは、ハシンタ様の最終面接が欠かせないようです……


 以上、長々と聞いて下さってありがとうございました。
 アントワネットちゃんの物語、これをもっておしまい、です。(続報を書かなくて済むことを祈ります…念のため門の錠前はとりかえました…)
 確かにとても疲れましたが、70ンキロの重し?がとれたこの爽快感たるや、ちょっと過去には経験がないもので、まんざら悪いことばかりでもなかったような気も、ちょっとし始めております。


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 「小さな家」を囲むミチカ柘榴は、どれも2メートルほどに育ち、今年は大豊作となりそうです。
 次に来る人は、労せずしていろんなものを食べられますね。
 ただいま鋭意募集中ですが、あせらずじっくり、「のんきで楽しい仲良し家族」を探そうと思います。


2015年2月12日(木) 午後5時半の室温27.5℃ 湿度67% 外気温25.8℃ 晴れのち曇り
<ナツメヤシ根付きました>


 東京方面、今年はたいへん寒そうですが、こちらも立秋を過ぎてますます暑いです…
 このところ留守役不在でやむなく籠城中のため、リマぜんたいがどうかはわかりませんが、けっこう暑いほうの夏なんではないかと思います。


 ポーチの最高気温、今週は32.7℃を記録しました。
 湿度は60%台なので、扇風機でもしのげる程度ではありますが…さすがにちょっとバテてきました。


 猫番君たちに退去勧告をした一月なかば、実はすでに後任者のめどはついていました。
 ところがその後問題が浮上して、そのお話は流れてしまいました。
 (三歳の男の子がいるご家族だったのですが、お父さんが毎日子連れ出勤したいと言い出し…それじゃ私たちが仕事にならないよ…(^_^;))


 おかげで水撒きと芝刈りがいちばんたいへんな真夏に、二人きりで取り残されてしまいました…
 掃除も宿六と手分けしても半日仕事、めんどくさくて週一回がせいぜいなので、みるみるうちに埃がたまっていきます。
 確かにアントワネットちゃん、そういうところはしっかりしていて、実にまめに埃取りをしていたようです。
 私はのんきで指示も出してなかったのですが、前の勤め先の奥さんからよく教えこまれていたのでしょうね。


 しかしまあ埃くらいは大したことではありません。
 でも芝は放置するにも限度があるので、今日はフランクリン君に芝刈り要員を送り込んでもらいました。


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派遣の芝刈り君は、ただいまお昼休み中。
(芝刈りをしているとすぐ小鳥が集まってきます)


次はぜったい、芝刈りをやってくれる人を雇います!

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 年末に移植したナツメヤシは、おかげさまでしっかり根付いたようです。
 今日はついでに、紐で束ねてある葉をほどいてもらいました。
 (私は夏バテでねていて見逃しました…宿六さん、起こしてよ…)


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紐はいとも簡単に切れたそうです。

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 とても高い位置で括ってあったので、どんな専門的な道具を使うのか?…と思っていたら、これ、棹の先にカッターナイフ縛り付けただけ?!
 な〜んだ、それでいいならさっさと自分で切ればよかった!


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 でもでも、紐を切ったとたん刺だらけの葉が頭上にバサバサっと落ちてきて、というのをリアルに想像し、それもあって手を出さなかったのですが、ちゃんと剪定してあったので無用の心配でした。
 やっぱり自分で切ればよかった。


 こうして見ると、いつも海側から風が吹いているため、少し向こうへ傾いているようです。
 フランクリン君は「手前に穴を掘って、ヤシを引っ張って立て直しましょう」と言いますが、根を傷めてはいけないので、しばらく様子を見ます。


 同君、こんなことも言い出しました、「このヤシは別荘地に高く転売することにして、ここにはまたほかのを植えましょう!」…やだよ。

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 中庭からもちらっと見えます。
 あと3メートルくらい、すすすっと伸びて、中庭の空にのしかかる感じに早くなってくれないかな。
 ペルーが世界に誇るグアノ(鳥糞肥料)でもやってみようかな。


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 裏庭から見ても、なかなかの存在感で嬉しいです、ナツメヤシが引き立つ平屋にして正解でした。
 夜のナツメヤシの風情も好きなので、暗くなったらどんな風に見えるか、今日は日暮れが楽しみです。


 右隣は、パチャカマックの入口あたりに植わっている、樹齢百余年のベンジャミンです。
 借景させて頂いてます。



2015年2月13日(金) 午後7時半の室温27.9℃ 湿度67% 外気温25.3℃ 快晴のち曇り
<未年の計画>

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 夕暮れ時のひまわり。あつくるしく咲き揃って、この一角だけ夏休み気分が横溢しております。
 (ま、リマでは植えさえすれば冬でも咲くのですけど)


 ひまわり植えるなんて、小学校以来ですが、簡単で見栄えがしていいものですね。
 おそらくF1種とかで増やせないと思いますが、ダメもとでいくつか花を残してみます。


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 まずこの世にひまわりがあって、それで数々の名画が生まれたはずなのに、今やひまわりを花瓶に挿すだけで、なんだか例の三人の絵描きの真似みたいになってしまうのが、すごいですよね。


 今日も草刈り機と、近所の寄宿校のカラオケ大会がうるさくて集中できませんので、web更新など…

 ぼんやりしているとついつい考えが戻っていくのが(笑)、「どうしてアントワネットちゃんのような人に出会ったのか?出会う必要があったのか?」ということです。

 私とて強烈な母に恵まれたという意味では、決してヨシコちゃんにも負けませんから、これは「よそのお宅の母娘の姿を見て、じぶんの半生について今いちど内省するように」ということなのかな?
 …などとさいしょは思いましたが、たぶんそうじゃないですね!


 日本のドラマでいつもうんざりさせられる、「小市民的日々是反省」なんかを天は求めているんじゃなくて、単にひとりの興味深い人間を、間近で観察させてくれた、というだけのことなのでしょう。

 アントワネットちゃんがペルー人として非常に特異だったのは、「私はものすごっく不幸なんです、そしてこの娘がいる限り、絶対にずっと幸せになんかなれないんです!」とつねづね断言していたことです。

 誠実な人柄のつれあいと、今はちゃんと学校に行こうと思っている娘、それを何とか手助けしたい雇い主、等々まわりの役者は揃っていながら、主役の彼女だけが、いつもすべてを台無しにしようと決意していて、そのものすごいエネルギーを何か勉強にでも向けたなら…(でなくともせめて内職とかに向ければ…)と、思わずにはいられませんでした。

 前に思い余って、「どうしてそんなにまで、不幸になろうと固く決心しているの?」と訊ねたとき、はっとした様子ではありましたが…
 でもこういうことは、いくら人から言われても心の奥底には届かないんですよね。


 しかし人生の遠回りは必ずしもわるいことではないですから、彼女も私と同じように、これから山ほど無駄な努力をして、プライドの空回りにたっぷり踊らされて、その上である日ふと、世の単純さを悟るのかなあと思います。
 まだ30代前半ですものね、時間はたっぷりあるはずです。


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 まるでお正月気分になれなかった、この1月。
 気分転換に、自分の写真で作ったカレンダーに凧をあげてみました!
 これがね、意外なほど慰めになったんですよ(*^_^*) なんか良い眺めでしょ?


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 こんな風に細長い池を作りたいです。
 (うしろのナツメヤシ、まだ箒みたいに括ってあったときに撮りました)
 水音がよく響くようにして、蓮も植えたいです


 まだ見積りも取ってませんので、単なる夢想の段階ですが。
 でも蓮は、リマでタネを扱っている人を見つけたので、近々取り寄せます。まずタネより始めよ。


 節分も過ぎて、ほんとのひつじ年となりましたので、今年の目標を考えてみました。


1)「読み描き」の充実。
 (描きたいものが頭から溢れそうなので、こまぎれ時間をもっと上手に使って、どんどん紙の上に定着させていきたいです。同時に資料もたくさん読むこと!)


2)庭に噴水池を作る。バラとナツメヤシも増やす。
 (今年中に、庭作りのおおまかな計画は完了させたいです)


3)家内安全のため、上手に自分のきげんをとる。
 (うちは私さえきげん良ければ、四海波静かなので…(^_^;)
 …うーんこれなんかは、まさに反面教師のアントワネットちゃんから学んだことかも)


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 「ペルーナイト柳」もこの夏はますます茂って、こんなふうにくっきり影を落とすところまで成長しました!
 少し前まで、木陰というのがまったくない家だったのですが、木々の成長のおかげでずいぶん雰囲気が変わってきました。


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 台所の窓の前に、葡萄棚を制作中です。
 今年は伸ばすだけ伸ばして、冬に剪定すれば、来年は実がつくかも…と皮算用。


 まんなかの立派な木は、ミチカ・マグノリア。
 彼女も今年は、ものすごく葉が増えましたね。


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 「ピンクのナスタチューム」と謳ったタネには、今まで何度も騙されましたが、これはほんとのピンクの花が咲いて万々歳!(おフランスのRoyalfleur社のタネ)。

 少し涼しくなったら、挿し枝でたくさん増やして、フランクリン君のお父さんに進呈したいです。
 かわいいお爺ちゃんで、うちに来るといつも、珍しい色のナスタチュームに見とれておられるので。


 そういえばアントワネットちゃんも、ナスタチュームの新色集めにハマってましたが(退去の際も少し鉢にいけて持っていったようです)、ピンクのは見せてあげたかったですね。

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 草木が繁茂するにつれて、やってくる小鳥や蝶々も少し顔ぶれが変わってきました。

 この夏は、タスキアゲハがとても多いです。
 リマあたりではこれがいちばん見栄えのする蝶で、ふるふると翅をふるわせる姿がきれいです。
 ヘンルーダの茂みで大繁殖しているらしいので、うっかりニームオイルなど撒かないように気をつけています。


 モナルカ蝶(オオカバマダラ)もときどき来てくれます。
 タネをまいた食草(トウワタ)の成長は思いのほか遅く、期待している「モナルカ庭内大繁殖」は、もし可能としても次の夏以降となりそうですが。


 でもほんとは、園芸種じゃない当地原産のトウワタが、いまごろルリン川沿いで咲いてるような気がしてならないのですよね… 「小さな家」の住人が早く決まって、籠城やめて探しに行けますように!

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 …以上、更新しようとしていたら、芝刈りあとを検分していた宿六が大興奮でやってきました、「バナナの実がついてる!」と。
 宿六はなぜかバナナの木になみなみならぬ愛着を持っており、いつも熱心に水やりをしているのですが、それなのにこの巨大な花序がついたことに今日まで気づかなかった、というおかしさ…


 花苞の下からは、もう花と緑色の実が覗いています。
 たくさん実りそうですが、いったい誰が食べるのかな…
 大して食べたくはないけど植えてみたい植物、というのはあとがちょっと困りそうですね…


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 「小さな家」のアボカドの木に、たくさん実がなっているのも、さきほど宿六が発見しました。
 猫番君が、「いずれ門の前に屋台を出して、アボカド・サンドイッチを売りたい」と言うので、植えてあげた苗木でしたが、諸行無常でございますな。



2015年2月16日(月) 午後8時の室温27.9℃ 湿度68% 外気温25.1℃ 曇り
<「小さな家」の入居者、決まりました!>


 うちの向かいにそびえるQuebrada Verde(今はカラカラの岩山ですが、冬には緑したたる「沙漠の花園」に変わります)の管理人夫妻は、おそらく十年以上前からの顔見知りです。
 先週、「そうだあの人たちにこそ、相談しなくちゃ!」と思いつき、宿六がルリン川を渡って訪ねると、なんとまあその場で、私たちの条件にぴったりな候補者を紹介されたのでした。


 40代前半という、若すぎず年寄りすぎず、ほどよく落ち着いた年齢の男性で、生まれも育ちもパチャカマック。
 このへんに多い果樹園や養鶏場で、長年家族ぐるみの住み込みをした経験があり、植物に詳しく、また今は棟梁稼業なので、一通りの家の修理は自分でできる、というエロイさん。


 …あ、いまちょっと笑いました?
 そうなんです名前こそエロいさんなのですが、むしろ子供っぽい素朴さを湛えたかわいいおじさんなので、苗字の一部をとってチュンピ君と呼ぶことにします。


 さっそく水曜にうちを見に来て、「一面の緑でいいなあ」とうっとりしてしまったチュンピ君、昨日は家族全員を引き連れ、再びやってきました。

 奥さんはとても素朴な雰囲気の人で、アントワネットちゃんみたいに中途半端に洗練?された気難しさは見受けられず、おつきあいもしやすそうです。
 夫妻にとって予定外のびっくりだった…という1歳の女の子は、黒髪がふさふさしていて、大きな瞳を輝かせて始終にこにこしている、アンデスなどでよく会うタイプのかわいい赤ちゃんです。


 お姉さんのお光ちゃん(本名からあだ名をつけました)は、まだ13歳ですがずいぶんと落ち着いていて、健気にも幼い妹の世話を一身に引き受けているようです。
 そして長男のハム君10歳(宿六から、ペットのハムスターとの同居許可をもらって喜んでいたので、この名に即決)は、最初は緊張して固まっていましたが、打ち解けるとなかなかはきはきした子です。


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 真昼のナツメヤシ。少しずつ葉が開いて、おもしろい影を落とすようになりました。
 (のたくっている水色の物体は、井戸から引いたホースです。今日はしっかり水撒きしないと…)


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 夕方のナツメヤシ。
 むこうの「小さな家」に、また毎晩灯りがともるようになるのも、もうすぐです。
 以前はついぞ、楽しそうな笑い声など聞こえてこない家でしたが(涙)、今度はきっとだいぶ違うでしょうね。



 ただ五人家族には、「小さな家」はちょっと狭いのではと心配でしたが、みんな大いに気に入ったようです。

 特に子供たちが、「このうち広くてきれいね〜」とニコニコしているので、本当にほっとしました…
 ハム君など中に入るなり、「わー、コンセントがこんなにたくさんある!」と叫びましたが、そうコンセントは、あとで壁に穴をあけずに済むよう、私がむやみにたくさんつけたんです、その工夫を10歳の子がわかってくれるなんて嬉しいわ〜^_^


 チュンピ君によると、今までの住み込み仕事では、柱もないような掘立て小屋や、湿地の上に作られた半浸水状態の家など、いつも実にひどい住まいをあてがわれていたそうです。
 この21世紀に、人さまをそんな風に扱える雇い主がいるなんて、ちょっと信じられませんが、現実にはさほど珍しいことではないようです…
 でもそのおかげで「小さな家」が輝いて見えるなら、チュンピ一家にとっても悪いばかりではなかった、ということでしょうか。


 家が大丈夫ならお話はまとまったも同然ですが、そのあと更に細かい相談をしました。
 なにぶん末っ子ちゃんがまだ伝い歩きの段階なので、当面は奥さんは子育てに専念し、チュンピ君がうちの内外の仕事を担当することになりました。休日は土曜日です。


 でも将来的には、奥さんがうちの掃除をし、チュンピ君は力仕事を手伝い、でも特に用がないときは外に働きに出る、という形を希望しているようです。
 そういうのを puerta abierta というんだそうです(開いた扉、つまり雇い人の家族は自由に出入り可、という意味かと思われます)。


 肝心の給料は、チュンピ君なかなか自分から言い出そうとせず、遠慮して七転八倒の末、そうっと申し出たので、こちらもドキドキしてしまいました。が、蓋をあければアントワネットちゃんと同額でした。

 アントワネットちゃんのときは本人の強い希望で契約書抜きでしたが、今回はちゃんと契約し、手取りが減らないように保険料分を上乗せしますから、当方の負担は若干増えますが(雇用者負担の9%と被雇用者負担の13%)、それで技術も体力もある一人前の男性を雇えるのなら、まったく言うことはありません。


 しかし当人としては、けっこう思い切った金額だったようです。
 奥さんに向かって、「ああこれでほんと安心して暮らせるね」としみじみ言うので、こちらまで嬉しくなってしまいました。
 やっぱり現状より境遇が良くなるのでなければ、転職しても長続きはしませんから。


 さらには、
 「…でもなんでしたら、いずれ家内と交代するときは、女手で力仕事ができないぶん給料を減らしてもらってかまいません。でもその場合も、私に時間があるときはいつでも手伝います」
 とまで、さも申し訳なさそうに言ってくれました。
 もちろん給料を下げるつもりなどありませんが、こういう遠慮深く、同時に前向きな姿勢って、心が通じる実感があって良いものですね…


 (自分の権利に関することとなると、なぜかいつも喧嘩腰だったアントワネットちゃんとは、なんという違いでしょう…
 彼女の給料交渉は開口一番、「で、いったいいくらもらえるんですか?前の仕事では○○○○ソルもらってましたけど!」(とふんぞりかえる)、という感じでしたから… 彼女もつくづく損な性分で気の毒ですが、私たちもいったいどうして彼女を雇ったんでしたっけ…?)


 こうして昨日は、全員が満足して散会となりました。
 予定では次の土曜に、ハムスターと一家五人が引越してきます。
 私の籠城生活もやっと終りです。いろいろほっとしたあまり、昨晩から軽い脱力状態です…


 ところで、チュンピさん一家といろいろ話していて、興味深く思ったことがひとつ。
 このご家族は冷蔵庫は持ってないようなのですが(いま同居している親戚と共用か、あるいは毎日まめに買い物してやり過ごしているのでしょう)、でもケーブルテレビのDIRECTVとは契約していて、「小さな家」にも自費で取り付けたいのだとか。
 実にいまどきのペルー人らしいお話ですよね、冷蔵庫よりもケーブルテレビ優先とは!


 しかし冷蔵庫は、ないといろいろ不便と思うので、そのうち良い手を考えようと思います。
 …あっそうだ!(とわざとらしく)ちょうど私、モーターがうるさいボッシュの小型冷蔵庫を、静かなパナソニック製に買い替えたいと思ってたのですよね。
 今買うと、クリスマス時期より300ソル値下げされてる上に、扇風機とパナソニックの電子レンジがおまけについてくるらしいよ〜、宿六君。


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 すでに暑熱はわずかに衰えてきたようですが、ひまわりはこうしてますます暑くるしく…
 切っても切っても次々咲くので、ちょっと飽きてきました…やはり花は青系のがいいですね…


 きのうハム君、ひまわり畑を見てひとこと、「あ、これ、ぼくのネズちゃん(ハムスター)が食うやつだ!」

 チュンピ君ちの子供たちには、これからいろいろ面白がらせてもらえそうな予感がします。


2015年2月24日(火) 午後7時の室温26.4℃ 湿度70% 外気温23.5℃ 小雨(アンデスの雨雲が降りてきているようです)
<やっとわが家も平常運転…かな>


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当物件(「小さな家」)の自慢は、窓からのロマスの良い眺めと…(→)


 2月21日土曜、めでたく「小さな家」の新住人が引越してくることになりました。
 そこで前日、見おさめに家を覗いて、今を盛りのひまわりなど飾ってきました。


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(→)…リマではちょっと珍しい、瓦屋根の高い天井でございます。


 間取りは、手前が台所兼居間。
 左手の浴室と右の洗濯場にはさまれた廊下を通って、奥が寝室となっております。


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 「小さな家」のマラクーヤは、その後も次々と開花中。

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 つやつやの実もだいぶ育ってきました。
 マラクーヤは香り高くておいしいですけど、でも酸っぱくてそうたくさん食べられるものではないですよね、ぜんぶ実になってしまったらどうするのかな…


 (パチャカマックではよく、玄関先に台を置いて果物を売っているお宅がありますが、あれはおそらく食べきれないぶんを…ということなんでしょうね)

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 これは「小さな家」の庭に植えた、「ペルーナイトりんご」。
 けっこう実がついております。


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 アントワネットちゃんがタネから育てたパパイヤも元気です…

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 黄色トウガラシも、ちょうど収穫に間に合いますね。

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 さて21日は、荷作りに手間取ったらしく、日暮れまぎわにやっと引越しトラックが到着。
 まっさきに飛び降りたのは、予想通り、ハム君と彼のハムスターでした!


 荷物は少なくて、猫番君ちの三分の一…いえ四分の一くらいかも。
 これなら家も広く使ってもらえそうです。


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 ハムスターはニコライ様とおっしゃるそうです。
 いったいどこから持ってきた名前なのかな…ロシア皇帝じゃあなさそうですが。


 おがくずのかわりに、餌のひまわりのタネをたっぷり詰めてあるところが、とっても大らかでペルー風(^。^)

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 三週間ぶりに、「小さな家」に明りが灯りました。
 同じ電球なんですけど、前よりずっと暖かな色に見えます…


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 そうこうしているあいだに、バナナの実もどんどん育っています。
 2月16日のお姿はこうでした。


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 そしてこちらが、きのう2月23日のお姿。
 こんなに実がついてしまってどうしよう…と思ってましたが、一気に五人も隣人が増えたので、消費の問題はなさそうです。


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 そしてきのう23日(月)は、いよいよチュンピ君の仕事はじめ。

 …チュンピ君の引越しスナップの笑顔を見ていたら、なぜか脳裏に「缶コーヒーのBOSS、缶コーヒーのBOSS…」と浮かんできて……
 あ、そういえば、矢沢永吉を温和そうに太らせたら、ちょっと似てるかも!
 というわけで、これからは永吉君と呼ぶことにいたします。


 (ペルーはモンゴロイドの国だけあって、日本の有名人(但し濃い顔に限る)のそっくりさんを、わりとよく見かけますよね。
 以前にも、リマのせんだみつお(AT先生ご発見)やナスカの松崎しげる(calleretiroさんご発見)に会ったことがあります)


 気がかりだったハシンタ猫の最終面接は、まったく問題ありませんでした。
 初対面なのに、おっとりと永吉君に頭をなでさせるハシンタは、アントワネットちゃんに見せる般若顔の猫とはまるきり別猫でした。


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 永吉君が仕事するあいだ、夏休みの家族は芝でのんびりピクニック。ハムスターもいっしょです。
 仲の良い家族ってほんといいですね。
 (猫番君のときも、こういう情景を夢見ていたのですが、一度もなかったですね…)


 上の子二人はちゃんとしつけもされていて、言われなくてもよく両親を手伝うので、それも感心です。
 ハム君はちょっとばかしその度合いが過ぎて、お父さんといっしょにうちの掃除をしたがるのには、少々困っておりますが(笑)
 さっきもお父さんに「帰れ」と言われて、ものすごく暗い顔でとぼとぼ去っていきました…
 いえそのやはり、当家では未成年の就労は認めておりませぬによって…



 おかげさまで、私たちも三か月来の心配事から解放され、心底ほっとしております。
 これでやっとわが家も平常運転です(たぶん)。


 再びよその人が出入りするようになったので、もう時間と場所を選ばず昼寝をしたり、乾いた洗濯物を畳まないで積み上げておいたり…はできませんが、人手がふえてほんとうに安心です!


2015年3月6日(金) 午後10時の室温27.3℃ 湿度64% 外気温23.1℃ ほぼ晴れ
<おかげさまで平和です>

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アンテナを調べに来たDIRECTVの人たちを、物陰から監視するハシンタ猫。


 …永吉君がうちで働き始めて、まだ二週間だなんて、ちょっと信じられません。
 あまりの一家の馴染みように、少なくとも数カ月は過ぎたような気がします。


 今、唯一問題となっているのは、「小さな家」へのケーブルテレビ配線が、まだできていないことです(いえ、正確には配線はしたものの、番組配信がされていない状態)

 もっとも格安というので、うちで契約しているプランに、子機を足してもらうことにしたのですが…
 工事を終えたあとになって、「そのプランは大昔のもので子機はつけられないと判明しました」のどうのこうの…、責任者はだれもすっきりした代替案を出せずに、もたもたもたもた…


 まあうちは別に困りませんが、「小さな家」のお母さん・お光ちゃん・ハム君はテレビ中毒気味らしく、毎日私たちの顔をみるたびに、「あの〜、ケーブルテレビは………」と世にも悲しそうな顔をするので、それにちょっと参っております。
 でも明日は、とうとうのとうとう(取り付け申請からもう11日!)解決するはず…です。
 また余計な支障が判明しませんように!


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 四人がかりで、聖体行列のようにしずしずと…
 (お父さんの腰巾着のハム君は、別にいなくても用は足りたのですが、一応冷蔵庫に手を添えています。その気持がかわいいですね)



 冷蔵庫は結局、めんどくさくて自分で買いました(宿六ではなく)。
 おまけについてきた、パナソニックのずいぶんご立派な電子レンジと、不要になった冷蔵庫(よく冷えるけど超うるさいボッシュ)は、小さな家に貸与することにしました。


 でも当地の人の多くは、電子レンジを「単なる温めなおし機」と思いこんでいるので、昨晩は「小さな家」で使い方講習会を開催。
 簡単なスポンジケーキを3分でチン!と作ってあげたのが大ウケで、ハム君がはうはう食いついてくれて嬉しかったです。


 期待どおり、ほのぼのとした良い家族ですよ〜
 お姉さんのお光ちゃんが、かすか〜に反抗期に入りかけていて、お父さんが寂しがっている具合なども絶妙でたまりません〜


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 今日は庭に、大穴が五つ開いています。
 月は明るいですが、夜間は歩くの厳禁です。
 フランクリン君のところの若者が半日かけて掘ってくれました、ここに明日追加のナツメヤシを植える予定です。


 (さっき穴に入ってみて、芝の根が驚くほど深いのに気づきました。
 道理で、少し水やりをさぼったくらいでは枯れないわけです)


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 穴を掘るためはがした芝は、さっそく永吉君が「小さな家」に引いていき、庭に張り始めています。

 この庭を埋め尽くしていた雑草は、ぜんぶきれいに始末され、二週間でこんなにすっきりしました。
 (特にハム君が熱心に働いてました)。
 永吉君は庭の右半分は畑にし、写真の左半分には芝やコニファーなんかを植えて、ちょっとおしゃれな庭にしたいそうです。…コニファーまで植えるということは、長居するつもりなのでしょうね、ありがたいことです。


 …思えば猫番君が居たころは、ずいぶん雰囲気が違いました。
 猫番君、せっせと庭に野菜を植えながらも、「でもここは本当の自分の庭ではないから、いつ自分のものでなくなるかわからないのに、あまり苦労しても…」等々、いつも薄暗い発言ばかりで、また実際その通りになってしまったので、永吉君の前向き思考には心がなごみます…


 またたとえば、同じニームオイルを撒くのでも、猫番君は「こういうのは、たぶんあまり効かないんです…野菜も枯れるかもしれない…」と疑いながら撒いて、ほんとに猫番君が植えた野菜だけ枯れたりしてたのですが…(笑)
 でも永吉君は、撒いたその日から「なんか効いてきた、効いてきた!」と子供のように大喜びで、そういう人だと効果も倍増するのでしょうか?
 このところ人手不足で跳梁跋扈していたハエや蚊が、急激に少なくなってびっくりです。


 あまりに単純な「ポジティブ・シンキングの勧め」は、人生そんなもんじゃないよね、と思いますけど、でもこうまでわかりやすい例を目の当たりにして、少なくとも試す甲斐はあるかも?という気がしてきております。

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 雑草が取り払われ、やっと全貌が明らかになったアントワネットちゃんの置き土産。
 ダントツで多いのは、トウガラシのようです。
 少なくとも1ダースはトウガラシの茂みがあるので、永吉君、「前の人は、な、なんでこんなにトウガラシを…?」と、ちょっと呆然としていました。


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 去年はあやまってタネを洗濯機と乾燥機にかけてしまい、悲惨な失敗に終った朝顔でしたが、今年は順調に育っています。
 いつも湿気のあるリマの空は、夏でも青の冴えかたが足りないので、もし壁いっぱいにスペインの空色の朝顔を咲かせたらちょうどいいかな…と思っております。



2015年3月21日(土) 午後4時の室温27.9℃ 湿度60% 外気温28.2℃ 小雨〜晴れ〜曇り
<ハチドリの雨宿り>


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ハチドリの雨宿り。
ふくら雀状態です、寒いのかな。


 きょうは、夏には珍しい雨が音を立てて降り、しばし雨季のアンデスに旅した気分を味わいました。
 ここ数日、さわやかな三月らしからぬ重苦しい空模様でしたが、山の雨雲だったようですね。


 ルリン川沿いでは洪水もあったらしいですが、おかげさまでうちのあたりは大丈夫でした。

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 猫も驚いたのか、昼寝を忘れてうろうろしてました。
 (窓を拭いた布を投げておいたら、すぐ上に座ってみるハシンタ猫…なんで猫って布に抵抗できないんでしょ?)


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 日本の方には意味不明の写真かも…
 リマに長く住んでいると、水たまりの波紋が珍しくて、つい写してしまうのです。


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早く雨、あがらないかなあ?

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 もめていたケーブルテレビは、先日やっと「小さな家」に設置されました。

 作業中にちょっと覗いてきましたが、「冷蔵庫はなくても何とかなるけど、テレビはやっぱりソニーのBravia!」……というところに、「ペルーの今」が、とってもよく表れているような。

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 「小さな家」福利厚生の一環として、50uばかりの芝を敷き、パラソルつきテーブルセットを支給しました。
 テーブルセットは、夏休み後の売れ残りだったので、バーゲンで半額でしたラッキ〜!
 ちょうどリマのホコリ色、汚れが目立たなくて良さそうです。


 期待通り、子供たちがたいへん喜んでくれて、毎日学校から戻ると、ここで裸足になって宿題をしています。
 とても気持よさそうです。


 永吉君の心づもりでは、奥の壁際にはバナナとパパイヤを集中的に植え、小道をはさんだ右手では野菜を作りたいそうです。
 永吉君も体重オーバー気味ですが(奇しくもアントワネットちゃんと同じ身長・体重…)、やはり野菜が苦手だそうで、でも自分で作れば大抵のものはおいしく感じますもんね。


 左下のミチカ柘榴、真赤に色づいてきました、あと一週間くらいで食べごろかな?

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 アントワネットちゃんの置き土産、その後。
 「小さな家」から、ときどきマラクーヤやロコト(トウガラシ)が届くので、ありがたく頂いています。
 やはり取りたては格別においしいです。


 そうこうするうちに試用期間の一か月も過ぎますが、永吉君は仕事も住まいも満足至極だそうで、また当方から見ても文句なしの一家なので、近々正式に契約する予定です。
 ねんのため子供たちの意見も聞いてきましたが、緑が多くて学校も近く、畑ではいろいろ作れて、うるさい従兄弟たちは遠くなり、親戚のおばさんの使い走りもしなくて済むので(笑)、もう前の家には戻りたくないそうです。


 そこで宿六が意地悪く、「でもお父さんは仕事辞めたいと言ってるよ?子供たちはどうする?」とからかうと、ハム君だけがすごい真顔になっていました。
 そしてその日は、夜まで何度も、「お父さんほんとに辞めるの?辞めないよね?」と心配していたそうです、かわいそ……


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 バナナのその後。
 際限なく垂れ下っていくのですが……
 いつまで放っておけばいいのでしょう…?



2015年4月5日(日)復活の主日 午後2時半の室温26.5℃ 湿度60.0% 外気温28.1℃ 晴れのち薄曇り
<聖週間はちょっとのんびり>


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理想のバラにやっと遭遇!
落ちついた紫系で、強いダマスク香、切り花にすると花もちも良く、言うことなし。



 3月下旬のときならぬ猛暑も、やっとおさまってくれました。
 (わが家のポーチでの最高気温は33.9℃を記録、リマでこれはありえない!です)
 そして例年通り、透明な光あふれる聖週間がやってきました!
 夏のあいだ、葉っぱだけで冴えなかったバラも、一斉に花をつけ始めました。


 …当地で売られているバラ苗のほとんどは、身元不明のバラです。
 品種名つきで販売されることはまずなく、「大きな白いバラ、小さな紫のバラ、赤のつるバラ」程度の、気楽〜な区別しかされていません。


 だから自分が欲しい「これ!」というバラを見つけるのは、とても難しいです。
 ひたすら色を見て、香りを確認して、一本一本に当たって探すしかなく、でもいつもさいごは、あるものを仕方なく買ってくる、ということになります。


 そんなですから、モロッコ旅行からあと4年近くも、嗅覚だけを頼りに「ダマスク香のバラ」を探しつづけましたが、何の成果もなし。
 それが先日モンテリコの園芸店で、えもいわれない色調のバラを見つけて駆け寄ると…
 あたりに漂うのは、まごうことなきダマスクローズの強い香り!なんという嬉しさ!


 喜びいさんで三鉢持ち帰りましたが、領収書を見ると、あら珍しい品種名も打ち込まれています、感心感心。
 と、ところがネットで調べると、どうもまちがっているみたいで……(あーあ、慣れないことするから)
 Rhapsody in Blueとあるのですが、それだったらもっと花びらが少なく、香りもスパイス系のはず。


 名前はどうあれ、たいへん好みのバラには違いないので、数日後またモンテリコまで遠征し、残っていた二本を買ってきました。
 すると今度は、領収書に別の名が。Shocking Blueとなっていて、こちらが正解のようです。
 今さらこれしきでは驚きませんが、ほんっとペルーは万事テキトーですよねえ、値段は同じだから店員さんとしてはどうでも良かったのかなっ?


 それにしましても、色も姿も香りも私の理想通りのバラです。嬉しすぎ。
 70年代の作出で、切り花用として人気だった時代もあるとか、まったく知らずに半生過ごしてしまったのは少し残念。
 どうかパチャカマックの気候に、うまく順応してくれますように。
 そしたらあとまた三年くらいは、ペルーでなんとか、がんばれそうですから…


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 9月に引越し一年記念で植えた「身元不明バラ」の数々は、特にお世話はしていませんが、意外にきれいに咲いてくれています。
 アパート時代は、バラは鉢植えにして片端から枯らしていましたが(私の薄暗い過去…(-_-))、地面におろすとやはり強いですね。


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 気候もよくなり、園芸気分が再び高まって来たので、道具類も少し新調。

 近所の荒物屋さんで買った、この凶器にもなりそうなhoz(円形鎌)、450円ほどでしたが、見るとスペイン製とあります。
 450円の鎌を、わざわざスペインから輸入って、いったい………
 薄利多売が見込めるほど、そんな大量に売れるものなんでしょか、円形鎌って??


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アンデスの雨水が、滔々と流れ下るルリン川。
これで五月には、あっさりと干上がってしまうのです。


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 近所の用水路にも、カフェオレ色のアンデスの水が流れています。

 この用水路、引きたければうちにも引けるらしく、隣家の人が共同で工事したがっていましたが、井戸水のほうが清潔なので遠慮しておきました。
 季節感はありそうですけど、見るからに藪蚊が大発生しそうですよね。


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 そうそうこの夏は、猛暑のせいか、蚊にはかなり悩まされました。

 ベープや蚊取り線香は当地でも普及していますが、猫や熱帯魚がいるので、できれば避けたく…
 かわりに無害そうな方法(ニンニク水やレモングラス水を皮膚に塗るとか、炭酸水で蚊のトラップを作るとか…)をありったけ試しましたが、すべて無駄でした。


 さいごにたどり着いたのが、古典的な蚊帳(mosquitero)。
 赤子のゆりかごみたいで視覚的にやや抵抗はありますが、効果はすばらしく、以来安眠できております。


 リマのカーテン屋さん手作りで60ソル也(約2300円)。
 これならすぐ猫に破られてワン・シーズンの命でもいいか…と思っていますが、今のところ無事です。


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蚊帳越しに見る猫のかわいさも、また格別…

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 「ミチカ柘榴」はいよいよ収穫開始。渋みがなくてとてもおいしいです。
 「ペルーナイト桃」も十個ほどとれましたが、これまた渋みのない良い桃で、永吉君がぜひ挿し木で増やすと張り切っています。


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柘榴の木陰でデート中の小鳩夫妻。

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あ〜極楽極楽…

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聖週間の陽ざしをさんさんと浴びる「ミチカ・マグノリア」。


 永吉君は、聖週間の木・金・土と連休のはずでしたが、本人いわく「二日も休めばもうじゅうぶん退屈」だそうで、土日はふつうに働くことになってしまいました。
 (誰かがうちで熱心に働いていると、私もグズグズしづらくて困るのですが…)


 休日出勤分は、ちかぢか運転免許をとりにいくので、その日に使いたいそうです。
 当地ではよくあることですが、永吉君は運転はできるけど免許は持っていない(笑)ので、面接時に取得してほしい旨伝えたのを、ちゃんと覚えていてくれたようです。


 パチャカマックに来て、空港がいっそう遠くなってしまったので、宿六のたまの出張の際など送迎してもらえたらどんなに助かるかわかりません。期待期待…
 ただ、ついにあたくしも運転手つきの御身分!…とはいかないと思います。
 リマでは(必要に迫られた買い物以外)行きたいところは全くないので、一人で奥さま然?と乗せてもらう機会などなさそうですから。つまんないの。



2015年4月23日(木) 午前11時半の室温25.0℃ 湿度67.5% 外気温28.9℃ 快晴!
<ペルー料理の病院食(@_@;)>

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 リマのスルコ区の、小ぎれいな私立病院。
 よく前を通るので、救急に並んでいる人を見てはお気の毒に思っていましたが、まさか自分もその一人となるとは……



 先々週の金曜日、とつぜん体調がのっぴきならないこととなり、筋金入りの医者嫌いのわたくし(学校出てから医者にみてもらったこと一度もありませ〜ん)もとうとう観念し、リマ市内の病院の救急窓口へと向かいました。

 そこで即入院・手術を勧められ、私も医師の話にピンとくるものがあったので、翌土曜深夜に入院、日曜の朝には手術という、超特急の運びとなりました。

 以前ある知人が手術をなさって、でもごく内輪にしか知らせず、まもなく仕事に復帰なさったお姿がとてもカッコ良く、私も自分のときはそうしようと思っていました。
 しかし、「ペルー料理の病院食」を紹介する誘惑は、あまりに強く…
 なので笑い話の部分は、書いてしまうことにします。


 ただ手術の中身については、まだ思い出すのもイタい!ですし、また今後どんな影響があるか、じっくり見ていかないとなりませんので、自分でいろいろ納得するまではどなたにもお話ししないつもりです。
 ですのでお友達のみなさまも、どうか今のところは、何も聞かないでやってくださいましね。


 また今ちょうど、(私だけでなく)家もあちこち修理改善中で、宿六も忙しくて郵便局へ行く時間もありませんので、お見舞いもお気持ちだけで、品物は辞退させていただきたいと思っております。
 いろいろとご理解のほど、よろしくお願いいたします!
 とにかく命に別条ありませんので、ご心配には及びません。


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 ふつうにきれいで明るい病室。
 予約時、部屋のオプションはなにも示されなかったので、たぶん全室個室なのでしょう。
 右のは広げるとベッドになるソファで、宿六はここで三泊しました。おつかれさま。


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 ふつうにきれいなバストイレ。
 歯ブラシやスポンジなど、ペルーにしては珍しくいろいろ備品が置いてあったので、やっぱりここはホテルじゃなくて病院なんだな…と思いました。


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 さて翌日。
 早朝に手術を受けたあと、真夜中過ぎまでの時間が、人生で最高に痛くて苦しかったです。
 そして、まだその「ひと思いに殺してくれ!」状態が続く私のところに、どーん!とやってきた夕食がこれです、わはははは…


 香味野菜のスープ。
 鶏のカウカウ風(ミントをきかせたジャガイモの煮込み料理)とたっぷりの味付きごはん(大盛り三膳分くらい)。
 そして切ったパパイヤ大皿いっぱい(変に多い…)。


 点滴をつけて痛みに七転八倒しつつも、見ものなので、意地で起きて写真を撮りました。
 これ、手術当日ですよ?!手術当日にこんな重いもの、食べられる人っているんでしょうか!
 (まあペルーにはいるから出るのでしょうけど…)


 スープを少し飲んで、再び倒れ伏し、残りは宿六が平らげました(笑)
 そのへんの下手な定食屋よりはおいしかったそうです。


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 手術翌日の朝食。
 パパイヤジュースと、薄くてまずいオートミール。
 インスタントのオートミールを、どうしたらこんなにまずく調理できるのか不思議です、おそらく水からくたくた糊のように煮ているのかな…
 しかも塩味はなく、お砂糖を入れろというのでしょうね… 三袋もついてました。


 パンは、ペルーの例の腰抜けふわふわパンで、ほぐした鶏がはさんであります。マヨネーズつき。
 私は持参の梅干しでオートミールを何とか流し込み、残りは宿六が平らげました(笑)



 (さいしょの病室は空調があまりにうるさかったので、手術後に別の部屋にかえてもらいました。
 このさい安置してローソクでもあげてもらえば、ちょうど良さそうな雰囲気の部屋でした…)


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 続いて昼食は、鶏攻めときました…(そういえば朝も鶏サンドイッチ…)

 たくさんの鶏と野菜がちょっとのスープ。
 山ほどの茹で鶏とソーセージと巨大クルトンが、これでもか!とちりばめられたサラダ。
 (サラダとは名ばかりで、緑は葉っぱが数枚入っているだけです)
 鶏のエストファード(トマトと玉ねぎ風味の煮込み)、大量のごはんとユカ芋つき。
 そしてキャラメルクリームのロールケーキ(ピオノノ)。


 あの〜まだ手術の翌日なんですが……病室まちがってませんか?(まちがってないそうです)
 スープを飲み、サラダの葉っぱをつまんだだけで、私は力尽きました。


 宿六は猫のご機嫌とりに帰宅していたため、この鶏攻めは試食しそこないました。
 さっき初めて写真を見て、けっこうおいしそうだと申しております。
 ふだんは忘れていますが、こういうとき私はペルー人と結婚したんだったなあと思います。


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 おまちかね(食事じゃなくてネタとしてお待ちかね)、夕食の到着。

 昼と同じ香味野菜のスープ(また鶏が入ってる!)
 白身魚に小麦粉をたっぷりまぶしたフライ(病院の夕食にフライもの、ですか…)
 もちろんごはんとユカ芋つき。
 そして糖分の高そうな果物ばかりのフルーツサラダ。


 緑色がまったく入っていなくて、これは食欲失います。
 私は魚をちょっとつつき、残りは宿六が平らげました(笑)


 全体に糖質に偏りすぎの食事で(まあペルー料理じたいそういうものですけど)、ここに長居をしたら、ひとつ病気が治ってもまた別の病気になりそうです。
 明日は死んでも退院する!と心に決めて、この晩は休みました。


 (とまあぼろぼろに言っておりますが、ペルーでの入院生活としてはとても上等なほうだったのは、まちがいありません。

 だいぶ前に、国立病院で出産したお手伝いさんのお見舞に行ったことがありますが、寒々しいセメント色の病室に、野戦病院のようにぎっしり寝台が並べられ、ぺらぺらのカーテンで仕切られているだけで、まずそれにショックを受けました。
 またそこで配られた夕食も、ひどいものでした。
 アルミのお皿の上に盛られたのは、冷めた白いごはんと目玉(片目)焼き、それにキューブを溶いただけのコンソメスープ…出産直後、授乳中のお母さんの夕飯がこれですよ……


 だから私が贅沢言ったら、罰が当たるのはわかっています、もともと食事しに行ったわけではないですし。
 ただ今は、イタい過去は笑い飛ばして早く忘れて、さっさと次に進みたい!という気分ですので、どうか読み流しておいてくださいね!)


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 最終日の朝食。
 まずいオートミール(やはりお砂糖が三袋ついてました………)
 まずい野菜オムレツをはさんだ腰ぬけパン。


 かねがね変に思っていましたが、どうもペルーの人は一般に、卵料理がとても下手ですね。
 溶きすぎた卵に煮殺した野菜くずを入れ、薄くのばしてカラカラになるまで焼いたものを、オムレツとかトルティーリャとか称して喜んで食べています。


 この日も私はオートミールを梅干しで流し込み、残りは宿六が平らげました(笑)
 久しぶりに食べた下手すぎオムレツに、宿六はある種の郷愁を覚えたもよう。



 私が受けた手術は、日本なら一週間から十日入院し、その後一か月自宅静養、というのが基準のようです。
 もちろんペルーではそこまで慎重ではなく、術後三泊が平均と聞いていましたが、私は術後二泊での脱走に成功しました。
 いえ、別に特に回復が早かったわけではなく、とにかくおなかが空いたのと、それから病室の騒々しさに耐えかねたからです!


 恐ろしいことにこの病院の面会時刻は、朝8時から夜10時!なのでした(事実上「終日」ですよね)。

 それも運の悪いことに、向かいの病室には二十人近い見舞い客(見物客?)がつめかけ(看護婦さんいわく「あれは近所の人まで来てるわ(笑)」)、深夜まで患者の容体とは無関係なことを、楽しそうに廊下でわあわあ喋りつづけていました。
 また消灯時刻もないらしく、だから面会時刻が終っても、患者と付き添い人は大音響でテレビをつけて、しかも扉を半開きにしていたりするのです…そんな元気なら、なんで病院にいるの…?


 これに加えて、早朝深夜問わず波状攻撃をかけてくる、「当直医師と看護婦のご挨拶」というのも大迷惑でした。
 交代するたびに全員がぞろぞろ挨拶にやって来て、まあ私立病院だからサービスの一環のつもりかもしれませんが、間違ったおもてなし感いっぱいでした。


 ほぼ20分おきに誰かが病室に飛び込んできて、でもこっちは斬られて倒れているんですから、私に用がないなら寝かしといてください…ですよまったく!
 しかも敵は満面の営業スマイルを浮かべているので、とっさには苦情も口から出て来ません。



 人生初の入院体験@Limaは、まあ予想はしていましたが、このようにたいへん落ち着かないものでした。
 執刀医に必死で元気アピールをし、一日早く逃亡できたのは、不運中の幸いでした。


 いえもちろん、看護婦も医師もみな優しく、同時にてきぱきしていて、注射や点滴も上手でしたし、医療機器類もけっこう新しそうで、ペルーでもこれくらいの医療は必要なときすぐ受けられるとわかって、大いに安心しました。
 でもやっぱりリマには、わが家以外に落ち着いて休養できるところはなさそうです。


 今はパチャカマックの緑と静けさが、しみじみ嬉しいです。
 あと一か月ほど、極力のんびり暮らしてみようと思います。
 とはいえ帰宅後すぐから、三食は作っておりますの…健康的なものを食べる手段が、ほかにないもので…
 人生どこまで行っても、台所には祟られます(泣)



2015年5月2日(土) 午後3時半の室温26.0℃ 湿度63.5% 外気温27.7℃ ほぼ快晴!
<いろいろ修理続行中…>



 悪夢の手術から、三週間が過ぎました〜
 急に傷が楽になって、もうくしゃみも大笑いも大丈夫そうです。
 ただ痛みが薄れたぶん、気分は滅入るようになりましたが(変なものですね人間って)、まあ当然の反応かと思うので、できるだけ流れにまかせております。


 先週は執刀医に会ってきました。

 「今だから言うけど、ほんとはとても複雑な難しい手術だったんです♪
 手術を二回ぶん同時にしたようなものよ!うふふ」
 という、妙〜に嬉しそうな(;一_一)解説&自慢話を、図解つきでたっぷり小一時間聞かされ、手術直後よりよほど蒼ざめて帰って参りました(笑)
 外科系のお医者って、なんであんなに血の出る話が好きなんでしょうね…


 手術なんて野蛮なものは二度といやだ!と改めて思いましたが、でも患者ごとにたっぷり時間をとって説明してくれるのは、人口が少ない国の利点ですね。
 そのかわり前の患者さんも長話だから、受付でたっぷり待たされますけど。


 (その晩は先生の話のせいで、手術室の光景がちらついて眠れず、ふと『はいからさんが通る』全巻を電子ブックで購入、明け方まで懐かしく読んでしまいました。
 あの作品が出た当時は、「少女マンガなのにヒロインが酒乱」ということで、けっこう衝撃作?でしたよね)



 ところでわたくしは、長年医者から逃げ回っていたせいで、今回のような緊急事態に至ったわけですが、じゃあこれからは反省してマメに医者に行くかというと、とんでもないですね!(良い子はまねをしないように)
 ぎりぎりまで逃げたおかげで、自分が抱えている問題のことなど夢にも知らず、思い悩むこともなかったのですから、結果的にはすごく得したと思っております。


 また、実際に開いてみてから(私は秋刀魚か)わかった異変もありましたが、それに至っては本人が知った時にはすでに処置済み。
 ショックはショックでしたが、事前に知っていろいろ想像で苦しまずに済んだのは、ほんと良かったです。
 手術室での、医師の的確な判断にも感謝です。



 たまたま救急で出会ったその先生は、「あらっあなたお若いわっ!お肌のお手入れの秘訣はなにっ?私も知りたいわっ」的な喋り方をする男性医師…です。
 (宿六の見立てでは、「あれはそれっぽいだけで真性のおかまさんではない」そうですが)


 幸運にも名医だったようで、傷の治りができるだけ早いように、美容的にも問題が少ないように、ふつうしない手間をかけて手術してくれたこともよくわかりました。
 なかなかやるじゃん、ペルー人。


 女性患者にとっては、おかまさん的男性医師というのは、なんといっても気が楽ですし、意外な狙い目かもしれませんね。…あら、へんなオチになってしまった。

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 白・ピンク・黄のぼかしになった華やかなプルメリアを、長いこと探しています。
 以前フランクリン君が「これ三色だったと思います!」と持ってきてくれたのは、咲いてみたら真白々…
 でもすでに根付いていてかわいそうだったので、そのまま植えてあります、私の気持も知らずにどんっどん大きくなっています。


 その後しばらくは探す気をなくしていましたが、先日Vivero Los Inkas(お高い園芸店)で「これ絶対に三色です!」という苗木があったので、買ってきて植えました。
 そして手術後に咲いたのを見たら…………ひたすら黄色い…
 それなりにかわいいけど、探してるのとはぜんぜん違います、でもこの苗ももう根付いてしまいました。


 商品管理がいいかげんなリマでは、めでたく三色のプルメリアを入手する前に、違う色のプルメリアで庭がいっぱいになりそうです…

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 ひさびさの現場仕事。妙に懐かしい光景。
 私の修理はほぼ終りましたので、今度はぼろぼろになった表門を修理中です。


 写真は表門からの通路ですが、ご覧の通りむさくるしい状態なので、ここもそのうち何とかしないとなりません。
 今年は9月に楽しみなお客さんの予定があるので、それまでにできるだけきれいにしておきたいです。


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 永吉君のいとこがやってきて、てきぱきと門をばらして組み直したら、新品みたいになりました。
 エステバン師匠はお年だし家も遠くて、ちょっとお願いしにくかったので、永吉君の大家族の存在がありがたいです。
 いろいろな専門の人がいて、しかも全員ご近所さんなので、何かと助けられております。


 床のセメントは、永吉君の弟君が敷いてくれました。
 (おもしろがって「赤いセメント」というのを使ってみたら、リマの小学校の床みたいになっちゃった…)
 今は引きつづき、内門のほうの床を直しているところです。
 とにかく私ふくめ、ぜんぶぼろぼろでしたから、いくらでも仕事があります。


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 久しぶりにゆっくり庭を歩いたら、初ライム発見!!

 柑橘系は、すぐクモだらけになったり病気に罹ったり。
 実も落ちやすく、むずかしいなあと思っていましたが、きのう見たら病葉のあいだに5,6個、実が育っています!


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 車庫の日除けにしようと、11月に植えたマラクーヤとグラナディージャ(どちらも時計草の仲間)。
 意外にも、すでに日除けとして役立っております。
 次の夏には実もつくことでしょう。
 (そうなる前に、重さでつっかい棒が倒れる心配がありますが…)


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 夏のあいだに、壁もずいぶん緑になりました(アイビーとオオイタビ)。
 リマでは紅葉はせず、ずっと緑のままなのはとても残念。


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 当地では、これくらいが精一杯の紅葉ですね。
 それでもちょっと季節感があって嬉しいです。ミチカ桜の紅葉です。


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 このところ暑からず寒からず、透明な日光が降り注ぎ、絶好の園芸日和が続いております。
 あと一カ月ちょっとは庭仕事はダメ、と言われているのが、とても不満です…


 このキンレンカ、くちばしが紅い白文鳥みたいでかわいいな。

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 …あ〜文鳥も飼いたいなあ!
 でも小鳥の飼育もけっこう体力がいるので、今は野鳥でがまんです。
 朝顔の前でポーズをとる、愛嬌者のミゾハシカッコウ君。毎日来てくれてありがとう。


 そういえばハム君のニコライ殿(ハムスター)は、先日あえなくお亡くなりになったそうです。
 かわいそうに動物好きのハム君、とても悲しんでいるそうなので、私の趣味で文鳥プレゼントしちゃおうかな…と思案中。



2015年5月9日(土) 午後6時の室温24.5℃ 湿度58.5% 外気温22.1℃ 曇り
<植物には負けるわ…>

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 ポーチにソライロアサガオを一本植えたら、あっというまにこんなになりました。
 何月まで咲いてくれるかな。
 原産地(熱帯アメリカ)に近いので、先祖がえりして多年草になるかどうかも、興味をもって眺めております。


 タネもどんどんできるので、来年は西側の壁を青い花でいっぱいにします。


 手術から四週間が過ぎました。
 前より良くなったところもあるにはあるのですが、体力は情けないほどなくなってしまいました。
 もとから体力のなさには自信があったので、もう大変です〜


 今まではきっと、不調に身体のほうがじわじわ順応し、できる範囲でやりくりしてたのだろうと思います。
 だから手術で抜本的な処置をすると、当面はかえって具合がわるくなるのも、まあ仕方ないのでしょうね。


 手術前の検査で、ついでに貧血もバレたので(だから医者なんかめったに行くもんじゃないです…)、鉄剤も飲み始めたのですが…
 飲むと気もちわるくて、食欲がなくなり、じりじりと体重が減っていきます。


 …これぜったい、身体にわるいですよね!(笑)
 貧血とも長いこと、知らずにつきあってきたので、今後も別にそれでいいんじゃないかという気が、激しくしております!
 (鉄剤はしまっておいて、急いで1,2キロ減らしたいときに飲もうかと……)


 現代医学の威力と限界の両方を、ちらっと垣間見た気分です。
 術後の体調管理には、たぶん伝統医学のほうが使えそうですね。



 今日は家じゅうが出払って、とても静かです。
 それでなんとなく50年をふりかえっていたら、トラブルばかりで心の休まるときが少ないわが人生に、ほとほといやけがさしてしまいました。
 ここは、さいきん大復活!した植物でもご紹介して、私も気分を変えようと思いまする。


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2007年1月

 マンタロ渓谷で、小さなマゲイ(アオノリュウゼツラン)を採取。
 チチャ用の甕に植えて、大きく育てたのですが…


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2013年11月

 引越し時に引き抜いたまま忘れていたら、こんなになってしまいました…
 手遅れかも…と案じつつ、庭に移植。


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2015年5月

 パンパスグラスに埋もれていたのを掘り出したら、驚きの大復活を果たしていました!
 たてよこ1メートル以上に育ち、地下茎の先にはいっぱい子株もできています。
 遠からずこの一帯は、手のつけようがないほどマゲイだらけになると思われます…好きだからいいけど。


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2014年11月

 小さな壺で半死半生となっていたブーゲンビリア。
 壺の底を割って庭に植えました。


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2015年5月

 もう壺が見えないくらい育ちました!
 じきにこの見苦しいコンクリートの柱も、きれいに覆ってくれることでしょう。


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2014年11月

 ブーゲンビリアと同じ状態だった、アヤクーチョのウチワサボテン。
 ほとんど根しか残ってなかったのですが…


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2015年5月

 すごい刺で武装して、順調に生育中。
 (さすがの永吉君も敬遠して、まわりの芝、とってくれてませんね)


 人間も、刈りこむと新しい頭部とか、生えてきてくれるといいのにね…

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2015年4月はじめ
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2015年5月はじめ


 ルリン川にも秋が来ました。
 一か月前には川幅いっぱいの濁流でしたが、今は透明な水が控えめに流れているだけです。
 あと一カ月もすれば、ほぼ干上がってしまうはずです。


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 水が多いときも少ないときも、いつも誰かが河原で洗濯したり、洗い物を積んできたオートタクシーを丸洗いしたりしています。たくましいですねえ。

 …アントワネットちゃん的体型の人が写っているので思い出しましたが、猫番君とはときどき門前で出くわします。
 あれだけ「パチャカマックには仕事がない、ぜんぜんない!」と言っていたのに、さいきんは仕事が尽きないそうで(うーん皮肉なものです…)、しばらくはパチャカマックに住み続けるつもりのようです。
 これはいちおう、良かった、と言えるのかな…


 猫番君のあと、永吉君の前に雇いかけた男性は(「毎日子連れ出勤したい」というのでお話が流れた人)、元の職場にいったん「辞めます宣言」をしたおかげで、慌てた雇い主が昇給を提案。
 滞りがちだった支払いも定期的になったそうで、万事めでたしめでたしですと先日連絡をもらいました。
 これはほんとに良かったです!


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パチャカマックの秋の色。
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 次回は、大騒動!だった「第二回ナツメヤシ移植大作戦」についてお伝えいたします。


2015年6月10日(水) 午前11時の室温25.5℃ 湿度66.5% 外気温29.5℃ 快晴!(エル・ニーニョ来てしまいましたねえ…)
<先に糸杉>

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↑糸杉とナツメヤシが並んだ理想の空間 @ Granada


 ナツメヤシの引越しのことを書くつもりでしたが、先週あらたに糸杉を植えたので、そちらを先にご報告。

 スペインやイタリアに多い黒々としたホソイトスギ(イタリアンサイプレス)、リマではほとんど見かけず、当地での呼び名もわからず、園芸店のフランクリン君に説明を試みても、どうもうまく伝わりません。
 でも「それっぽい木ならあるかも?」というので、彼の秘密基地(育種所)まで行ってみることにしました。


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 フランクリン君がいろいろ売りものを育てているこの地所は、パチャカマックのうちからすぐ近く。

 cipres limon(日本で言うゴールドクレスト?)がたくさん植わっていて壮観です!
 (なぜかイネ科のイチュやヒメザクロがまざってるのは、いかにもペルー式だけど)


 ぜんぜん興味なかった木ですが、曇り空の下、目の醒めるような鮮やかさを見たら、数本ほしくなってきました…
 あ、でも今日はホソイトスギホソイトスギ……
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 トピアリーも見よう見まねで作っているようです。ちょっと形がおぼつかないですが…

 そして左奥には、ホソイトスギ(イタリアンサイプレス)らしき糸杉が!
 当地では cipres vela (ろうそく型サイプレス)が通称だそうです。


 墓地の印象が強いせいか、リマではほしがる人が少なく、長いこと買い手がみつからなかったとか。
 そろそろ店頭に出して販促しようと思っていたそうで、根回し済みなのですぐ移植できます。あら嬉し。
 2メートルほどのが10本あって、1本は挿し枝用にとっておくというので、思い切って残りの9本をぜんぶ譲ってもらうことにしました。


 リマ生活(それ自体が一種のがまん大会のようなもの)丸20年完遂記念植樹…ということで。

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 パチャカマックでよく売れるのはブーゲンビリアだそうで、こ〜んなにたくさん挿し木が作ってあります。
 フランクリン君がんばってますねえ。


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 翌日、フランクリン君とお父さんが糸杉を持ってきてくれました。
 まず前庭に2本植えて、これでナツメヤシ、糸杉、オリーブと揃いました。
 喧騒のリマで目指す小さな地中海世界、少しずつ形になってきております…


 久しぶりに自分でスコップ握って掘り返したフランクリン君に、土の状態がすばらしいと褒められました。
 アントワネットちゃんと、そのあとを継いだ永吉君の、たゆまぬ水撒きのおかげです。
 いまやどこを掘ってもミミズが出てきて、二年前にはカラカラに死に絶えた土だったのが嘘のようです。


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 裏庭には糸杉を7本、持っていきました。
 この7本をきち〜っと並べるべきか否か、前の晩はねむれないほど悩みましたが(病気に比べるとなんと幸せな悩み!)、結局は林のようにさらっと配置することに。


 糸杉は意外に成長が早いらしく、20センチほどの小さな苗が、二年でここまで大きくなったそうです。
 よーし、それなら私も挿し枝に挑戦しなくては!


 そういえばうしろのサボテン山も、ちぎっては挿し、ちぎっては挿し…の多肉植物が、一年でどれもみっしり大きく育ってくれました。

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去年、サボテン山に植えた、たった二株のゼフィランサスも…(→)

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 今年はこんなに育って、こぼれるように花をつけてくれました。
 うしろのリュウゼツランもびっくりするほど大きくなりました。


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 ところで今年は、お天気がとても変です。なかなか本格的な冬がやってきません。

 大規模なエル・ニーニョ現象が発生したあの1997年の、5、6月ごろの空模様に非常によく似ています。
 (97年の年末には大使公邸人質事件が起き、宿六も五日間ほど閉じ込められましたので、何ともかんとも忘れ難い年です… そのせいか、97年のいろんなことはとてもよく覚えています)


 本当なら今ごろは毎日曇ってじめじめ寒いはずなのに、冷たい霧雨の日とからりと晴れた夏日が、数日おきにやってきます。
 何を着たらいいかわからず、夏物もしまうにしまえず、ちょっと困っております…


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 それでも一応冬らしく、バラは次々と咲き始めました。
 リマならではのガルーア(砂粒のように細かな霧雨)の日は、触るのがこわいほど繊細なガラス細工に変身です。
 静かに舞うように落ちてくる霧雨は、花びらに水滴のままきれいにくっつくのですよね。


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たとえほんとの夏でも、朝から木陰ができるなんて、リマではめったにないのに…
おそるべしエル・ニーニョ!



 さて糸杉の引越しが完了した裏庭では、風が吹くと全員ゆらゆら同じリズムで踊り始めて、それはかなり可笑しい眺めです。
 あとは一日も早く、見上げるような大樹に育ってくれれば……
 そしたら足もとにベンチを据えて、「私はほんとは今、アランブラの入口にいるんだ…」と現実逃避する予定です。それまで命もつかしらん?


 きのうもきょうも、写真の通りの快晴です。
 夏はずーっと晴れて冬はずーーっと曇る、リマの単調きわまりない空模様に慣れてますので、こういう変化のある日々はたいへん心楽しく、猫たちも「今年はあったかいねえ」とごきげんなのですが…
 ペルー全体のことを考えると喜ぶわけにはいきませぬ。


 現段階では、まあほどほどの規模のエル・ニーニョだろうと言われてますけど、どうかその予報がはずれませんように!
 今の無能な大統領では、97・98年のような大災害には、とても対応できないでしょうから。


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 さっそく糸杉を、羽虫監視所として利用しているベニタイランチョウ。
 先端から斜めにさっと舞い降りて、芝の上で虫を捕えます。


 このきれいな小鳥の子育て日記も、近いうちにお目にかけたいです。
 アントワネットちゃんがずっと雛を手に入れたがっていましたが、まるで危険人物(アントワネットちゃん)が去るのを待っていたかのように(笑)、この秋、ミチカ桜に巣をかけたのでした。



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