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2013年5月の「一服いかが?」その1



2013年5月1日(水) <メイデイの鶏の丸焼き>

2013年5月5日(日) <お庭にアルパカいかがでしょう?>

2013年5月6日(月) <本日は遠隔操作のみ・スミレに逃避>

2013年5月8日(水) <現場に復帰> <本棚の作り方>

2013年5月10日(金) <ペルー式・現場の工夫いろいろ>

2013年5月11日(土) <チームG、ひきつづき驀進中〜>

2013年5月13日(月) <窓と扉の進行状況> <祝日明けの月曜日>

2013年5月14日(火) <どんぐりアパート>

2013年5月15日(水) <もうヨレヨレですが今日も現場へ>


2013年5月1日(水) 午前零時の室温23℃ 湿度69% たぶん曇り
<メイデイの鶏の丸焼き>

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 すでに暑熱は去って、ごく快適な日々が続いております。
 毎年4,5月ごろに、リマと東京の気候がとても近くなる一時期がありますね。


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 現場では、砂岩の板の設置が始まりました。
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 屋根の上では瓦職人さんが、ピークのところをどう処理すべきか、スペインの雑誌片手に思案中。

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 仕上げについては、職人さんと施主で意見が分かれましたが、結局スペイン式に、すきまに瓦の破片を嵌めることになりました。
 口で説明するより、ずっと説得力があるスペインの雑誌、持ってって良かった。


 ただ、棟梁Gさんがあんまりほれぼれ雑誌を眺めるので、進呈しないわけにいかなくなっちゃいましたが…

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 瓦屋根と砂岩の腰板の色合い、思ったとおりよく釣り合っています。
 こうなると壁の色も、おのずと限られてきますね、どんな風にしようかな。


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 中庭側の屋根は、ほとんど見えないので、平たいタイルを使って、瓦を節約しています。

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 床にコンクリートを流す作業も、着々と進んでいます。ここは未来のシャワー室。
 夕日がまぶしいなあ。


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床をきれいにならすのも、もちろん手作業。

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 これからコンクリートを流す部屋では、El Che君が配線・配管の最終確認中。
 別の作業をしている若者たちが、よく踏んづけて管を割ってしまうので、その取り換えも大変そうです。

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 大量のケーブル類は、すでに調達済み。
 (こちらでは普通のことですが、ホコリだらけで売られてました〜)


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パチャカマックの鶏屋さんの広告。


 翌水曜はメイデイなので、夕方みなさんに鶏の丸焼きをごちそうすることにしました。
 ふつう1/4羽が一人分ですが、ここは1/8羽というオプションもあります、お子様ランチなのかな??


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 鶏の丸焼きも、ペルーに来たころはほんとよく食べましたが、すっかりご無沙汰していますねえ。
 たまには食べると、これまた初心にかえる契機になるかしらん?


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 鶏一羽につき、
・右の大きな箱いっぱい(箱のふたがしまらないほどいっぱい)のジャガイモフライ
・レタス、アボカド、ビーツ、トマトなどけっこう充実の大盛りサラダ
・飲むの?と思うほど大量のソース類(トウガラシやマヨネーズやいろいろ)
 …がついて、29.5ソル(約1100円)。


 これで四人が満腹になります。

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 デザートは、ダンキンドーナツを買っていきました。
 黄色いのは、carita feliz(スマイルマーク)のつもりのようです…
 (宇宙人が泣いてるようにも見えるのですが…)


 「12個買うと6個おまけ」というよくわからないセットが、42.9ソル(約1580円)。
 1個あたり88円だから、日本のミスタードーナツよりは安い、という程度かな?


 (何年ごろだったか、リマにダンキンドーナツができてから、明らかに肥満の人が増えたような気が…)

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 きょうはぜんぶで17人。五羽の鶏があっというまに消えました。
 みなさんご満足そうでなにより。
 El Che君は、ドーナツとフライドポテトを同時に食べているようです…


 「いつも昼食をとる近所のレストランでは、昼メニューに鶏しかない、もう羽根が生えてきそうだ!」
 とぼやいていた猫番君も、嬉しそうにゆっくり味わって食べています。
 矛盾してない?とたずねたところ、「定食の茹で鶏とは、味の格が違う」と即答。


 この六月でペルーに来て丸18年ですが(いま数えて驚いた、ぎええええ…)、鶏の丸焼きが嫌いなペルー人には、まだひとりも会ったことないなあ!

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 車がひっきりなしに行き交うパンアメリカン道の、本当にすぐ脇でくつろいでいる家鴨たち。
 奥の化粧品会社で飼っているらしいのですが、なんで逃げないのか、また誰も連れ去ろうとしないのか、長年の謎のひとつです。
 しかもときどき殖えてます。


 ああうちも早く、ここみたいに椰子の木を植えたいです。

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毎夕、パチャカマックの太陽の神殿に挨拶してから、リマへと戻ります。


2013年5月5日(日) 午後11時半の室温23℃ 湿度64%(急に冷えてちょっとストーブつけてしまいました) 晴れ
<お庭にアルパカいかがでしょう?>

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 先週は、旧パンアメリカン道の仔牛は売り切れらしく、見かけませんでした。
 でもかわりに、こんなのを売ってました。


 耳の形からして、たぶんアルパカの仔かな?(リャマと多少混じってるかも)
 通るたびに違う柄のがつないであるので、よく売れるのかな。
 パチャカマックなら、別荘のペット用でしょうね。


 いくらかわいくても、ラクダ科動物を飼う気持ちにはなれませんが(庭の花ばかり狙って食べるそうだし、わりと癇癪持ちだし)、……でも気になりますね。
 こんど参考まで、値段と世話のしかたを聞いてみます。


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 現場近くで出会った、騎馬の人々。
 別荘で馬を飼っている人たちかな? fina estampa…とまではいかないけど、風情があります。


 古風な木製のあぶみがいいですね。
 私これ、古物屋さんで買って、ドア・ストッパーにしています。


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 さて現場では、そろそろ家の大枠が完成。
 来週からは mueble de obra (作りつけ家具)の制作に入ります。


 「どんな家具が必要か、土曜までに詳しく知らせよ」と、とつぜん木曜に言われて、あわてました!
 夜更かしして、なんとか考えをまとめました。
 みなさん手仕事なので、私も手仕事でお応えして(というか時間なかったので)、フリーハンドのざっと描きです。


 台所の作業台や収納は、おしゃれで使い勝手のいい既製品を入れるかどうか、だいぶ迷いました。
 でもやっぱり、それは私らしくないや、という結論。
 煉瓦を積んで作ってもらうことにしました。
 そして将来少しずつ、エステバン師匠に棚や引き出しを取りつけてもらいます。


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 現場の首脳会談。
 正・副 両棟梁と配線関係の責任者R君。作りつけ家具の細部を確認中。


 ペルーのガテン系には、(私が知る限り)女性を小馬鹿にする人が多いのですが、この人たちはぜんぜんそういう傾向がなくて、ほんと良かったです。

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 もしかしてもしかすると、永遠に多面の筒型のままなのかも……
 と、ちょっと不安になりかけていた柱も、いつのまにか一本は丸くなってました。


 奥のトラックは、煉瓦屋さんの配達車です。

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 うわ、ひとつずつ下ろしてる…
 この日の配達分は、6500個だったはずですが……


 私たちは途中で帰ってしまったので、何時間かかったかは神のみぞ知る。

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これまた、非常なるありあわせ感あふるる作業台。
見ていてちょっと心配…



 新隣人Aさんとの境界壁を作るだけでなく、こうして奥の壁を少し高くするため、ふたたび大量の煉瓦が必要となってしまいました…
 うちの裏には丘があり、そこから家の中が丸見えになるので、煉瓦9個分だけ積み足すことになった次第。
 これまた予定外の重い出費ですが、ここまで来たらガソリンがつづく限り、走り続けるしかありません…


 この壁は土地を買ったとき、別のガテンさん(土地転がし屋のPさん)に作ってもらったもの。
 棟梁Gさんによると、柱の間隔が長すぎ、またほかにもいろいろいいかげんな作りになっているようです。
 今更しかたないけど、やれやれです…(まあPさんに家の建築たのまなくて良かったわ…)


 …これだから、もう一軒、建ててみたくなるんですよね!
 二回目は最初から、さぞ上手に立ち回れるだろうと思うので。


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 壁もこれくらいの高さになると、ただ煉瓦をのせては危険なので、横に鉄筋を入れないとなりません。
 なんとも微妙な体勢で、鉄筋の上にコンクリートを流しているのは、猫番君。


 …あ〜っ、それ、ヘルメット使って流してるの?!

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 こちらも現場の知恵と申せましょうか。
 副棟梁Zさんの、りっぱなケーロ(杯)。


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 土曜日、午後2時に仕事が終ったあと、棟梁Gさんが「少しはゴミを拾え!」と若者たちを叱り始めました。
 「施主がよけいなこと言ったな!」と恨まれそうな予感がしたので、私たちは早々に引き揚げることに…


 入り口でふと振り返ると、目の前に富士山ができてました、宝永の噴火口もちゃんとありますね。
 セメントとまぜるための砂の山です。


 そうそう、例の築山ですが、
 「富士山型にして、前に池を作って河口湖、てのはどう?」
 と冗談で提案したら、宿六が乗り気になってしまいました。
 私はやだよ…


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 パチャカマックには、妙に設備の良い、ぴかぴかの新設大学があります。
 その周辺では、常にこういう青春のひとこま的情景が展開されていますが、ご覧いただきたいのは定食屋さんの看板のほう。
 オムレツ(omelet か omelette)のつづりが、HOMELETになってます。
 卵(huevo)だから、あたまにHつけたのかな?^_^ なんかかわいい〜


 ここは、El Che君の叔母さんの店だそうです。
 El Che君はその後も、アルゼンチンなまりのせいでタクシー運転手にめちゃくちゃぼられたり、リマ再順応に大いに苦しんでいるようす。
 「正直なところリマ大きらい」だそうです(笑)、でも長閑なパチャカマックは好きで、家族もこのへんの出身で土地もあるので、近々家を建てる予定だとか。


 これはいいこと聞いた! 近所に電気や水回りの専門家がいたら、どんなに助かることか!
 急いでEl Che君のアドレスをメモする宿六……


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 旧パンアメリカン道沿いでは、材木屋さんがどんどんどんどん増殖中。
 走っても走っても材木屋。すごいです。
 またリマ市内の大きな荒物屋さんも、みな次々と、街道沿いに支店を開いています。


 棟梁Gさんたちも、建築関係の仕事はひきもきらないようです。
 (そういえば新隣人Aさんも、とりあえず上下水道工事はGさんに依頼することになりました。
 私たちとしても、知人が工事に来るのは安心ですから万々歳)


 世間の景気がいいのは、やっぱり暮らしていて気分がいいですね。
 でもわが家では、工事が一段落したら、超緊縮財政期に突入です(期間は未定、宿六次第)。
 あまりふわふわ世間の風に吹かれすぎないよう、そろそろ気もちを引き締めなくては…


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 帰路にいつも見ては笑っている看板。
 先日のインカキャッシュもなかなかですが、これはインカパワー!ときましたわ。
 車の整備関連の会社らしいです。


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 ついでなので、ペルー共和国の看板におけるインカの存在・第三弾。
 カハマルカの薬局、「インカ・サナ」。


 健康なインカ(Inca Sano)とすべきところを、ついまちがえたか、もしくは「インカがあなたを癒す(Inca te sana)」みたいな気もちを籠めたのか…
 どちらにしても、さいごのインカが湯治に来ていたバニョス・デル・インカの正面にある薬局なので、いい感じです。


 あ〜〜〜私も湯治に行きたい!
 ちょっとそろそろ体力限界です…でももうちょっとがんばってみます。
 …ならさっさと寝なさい、なんですけど、こういうのを書いていると、間取り図に占拠された脳が、少し休まるような気がするもので…



2013年5月6日(月) 午後8時半の室温22℃ 湿度68% 晴れ
<本日は遠隔操作のみ・スミレに逃避>

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エステバン師匠の工房に届いた材木。
うちの窓や扉は、まだすべて板の状態、ということです…
(以下、今日の写真はすべて、宿六の携帯から送られてきたものです)



 くたくたになってしまったので、今日は私は外出とりやめ。
 エステバン師匠宅を急襲してプレッシャーをかける、という大切な任務があったのですが、結局宿六だけが出陣いたしました。
 まあこういうことは、ペルー人男性同士で話し合ったほうが、たぶん簡単でしょう。


 Bozovich社の材木は、よく乾燥していて、すぐ作業が始められる状態、とのこと。
 それなのに、「念のため虫よけの薬をスプレーする」というので、それは必死で止めてもらいました。
 せっかく虫がつかない種類の、よく乾燥させた材木を選んで購入したというのに、それじゃ意味がありませんから。あ〜、あぶなかった。


 窓と扉は数十にのぼるので、とても師匠ひとりでは無理です(いえ、できるでしょうけど、数年はかかります)
 今のところ手伝いを入れて五人体制の予定ですが、それでもまだぜったい足りそうにありません。
 そこで宿六は夕方ふたたび、談判に出かけてゆきました。



 私のほうは(ちゃんと休めばいいのに)、今日は貴重なニオイスミレのタネ蒔きをいたしました。

 当地ではふつうのスミレ、ぜんぜん見かけませんが、やはり気候が合わないのかな?
 でもなんとかしたくて、数か月冷蔵庫で寝かせて、さらにジベレリン処理もしてみました。
 また危険分散のため、知り合いの園芸店にもタネとジベレリンを分けました。


 そのどれかが、芽を出してくれるといいのですが…
 「今が春先だよ」とスミレをだまして発芽させ、リマの穏やかな冬のあいだに少しずつ育て、夏には遮光幕を使って保護…というふうに夢想していますが、そうはうまくいかないかなー


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 作りつけの家具は、棟梁Gさんみずから、どんどん進めているようです。
 ううう、無言の圧力を感じる…
 私まだ宿題があるんですよね……
 物置部屋と、洗面所の戸棚のデザイン。今夜には決めなくちゃ。


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 二本目の柱も丸くなったようです。
 土曜日に、針金が一本、柱よりひとまわり大きく巻いてありましたが、あれを目印にしたのでしょうか?
 どうやって丸くするのか、見損ねてしまいました。
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 玄関の小窓は、副棟梁Zさんが仕上げています。
 丸い柱などの繊細な仕上げが、Zさんの得意技のようです。


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 奥の壁も、みるみる高くなっていくようです。
 それにしても、再びつっかい棒を見ようとは。
 今度は人と煉瓦がたっぷりのってますが、大丈夫なんでしょうか…


 このように現場では、私がニオイスミレに現実逃避しているあいだも、いつも通りばりばり仕事が進んでいたようです。

 日曜にようすを見にきた新隣人Aさんも、彼らの働きぶりに感心してしまい、
 「来年家を建てるときは、君に頼むつもりだから」そう棟梁Gさんに言ったとか。
 Gさんとても嬉しそうです。よかったよかった。



2013年5月8日(水) 午後4時の室温23℃ 湿度70% 曇り
<現場に復帰>

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 きのう火曜は、作りつけ家具の「宿題」を持って、現場へ。

 宿題はなかなかむずかしかったです。
 「そういえばクリスマスツリーしまう場所がない!」「心の友ルンバはどこに置くの?!」等々、最後になって気づいて調整がたいへんでした。
 気づいただけよかったんですけど。


 …おお! 現場では塀の背伸ばしが順調に進んでいます。
 おかげでもう、丘の上の家々の窓は、うちの中からはまったく見えません。


 高い塀に囲まれた空間って、おちつけるので大好きです。
 あれ、誤解をまねきそうな発言ですが、そういう意味ではなしに。


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台所の作りつけ家具、一日でここまで進みました。


 去年の暮れ、設計図を専門家にチェックしてもらったときのこと。

 その建築家は、窓や壁の大きさを、きちっと煉瓦の幅の倍数にしようと、妙にこだわる人でした。
 「こういう半端な数字は、現場で困るんです!」
 と叱られ?て、あちこち切りの良い数字(でも私の使い勝手はわるそうな数字)に直されてしまいました。


 ところが工事が始まってみると、どんな半端な長さだろうと、職人さんたちは何も言わずにさっさと煉瓦を割って、自由自在に作ってくれます。
 机上の論理と現場のずれ、なんでしょか。


 作りつけ家具も、私がいろいろ考え、ひねりだした半端な数字通りに、みるみるうちに出来上がっていきます。
 なんだか申し訳ないみたいです。


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 ここは、流し台が入るところ。

 台所の作業台はどうやって作るのだろう?と思っていましたが、途中まで煉瓦を積んで、木枠を載せて、その上にセメントを流して…
 要するに屋根と同じ作り方なんですね。なるほど!


 台所は見たところ問題なさそうでしたが、書庫の棚のほうは、職人さんがちょっと勘違いしてました。
 やっぱりきのうは行って良かったです。


 とにかく作業が早くて、一日来ないと、ぜんぜん違うものが完成してたりするので。
 (まったく逆の苦労を想像してましたので、急かされながらも、なんか嬉しいです。
 ペルー人やるじゃないか〜!)


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台所の調理台を作る、棟梁Gさん。
家にこういう器用な人がいたら、どんなにいいでしょうね。
なんといっても家まで自分で作れるのだから、すごいです。
じっさいGさんは、夜うちに帰ったあと、自宅を少しずつ建てているそうです。



 図面のやりとりをしていて、日本式の英数字の書き方や、日本式の丁寧すぎる(笑)説明図は、ペルーの職人さんにはかえってわかりにくいらしい…ということを学びました。

 いまペルー式の数字の書き方、練習中です。
 しじゅう(ごじゅうもけっこう近いけど)の手習い。


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家作りの山は過ぎたので、井戸掘りも再開。


 井戸の底のI君(ワヌコ出身の瓦屋根が好きな若者)を手伝う、というよりも、上からやいやい言ってからかっている仲間たち。

 黄色いシャツの小柄な青年は、みんなからチスピータ(火花、火の粉、あるいは、きらっとしたひらめきという意味も)と呼ばれています。
 だれに聞いても、「…そういえばチスピータの本名、知らないなあ」と言います。


 現場では年中だれかが、
 「チスピ〜タ! アグア!(井戸の水出して/止めて!)」
 「チスピ〜〜タ! マデラ!(作業に使う板、とって!)」
 「チスピ〜〜〜タ! ボルサ・デ・セメント!(セメント袋!)」
 等々、便利に呼びたてていて、きっと小回りのよくきく若者なんでしょうね。


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 井戸の底では、新たに掘り進んだところに鉄筋を巡らせ、板を並べています。
 で、このあと上の穴から、コンクリートを流しこむのですね。私もちょっとわかってきたぞー


 底にいたI君によると、井戸の中はとても暑く、入るだけで何もしなくても汗をかいてしまうとか。
 きついでしょうね…


 まだぜんぜん水は出ないらしく、しばらくかかりそうです。
 中国まで掘れよ、とか古典的ジョークが飛び交う楽しい現場です。


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 隣人Aさんの上下水道工事も開始。
 入口からいちばん遠い区画なので、静かで眺めも良いかわり、これだけは費用が余分にかかって大変そうです。


 当初、わが家の下水に合流させてもらえないか、との打診がありました。
 そうすればたしかに、先方にとってはショートカットで大いに節約になります。


 でも、うちの裏庭をつっきることになるので、木を植えるとき困りそうです。
 またそれ以前の問題として、せっかく田舎の一軒家なのに、よそのおうちの下水が家の真下を流れるというのは…

 うーん、引っかかります。
 とはいえ大事な隣人、断りにくくて、ちょっと困っていたのですが…

 R君に聞いてみると、無理です、と一刀両断してくれました。
 奥の区画から道路まで引くには、うちの下水よりずっと深く掘って、傾斜をつけないと無理(そうしないとうまく流れなくなる)とのこと。
 おかげでむげにお断りするまでもなく、立ち消えとなって助かりました。


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 隣人Aさんの工事は、暗くなってから本格的に始まりました。
 夜のほうが涼しくて楽だからだそうです。
 掘っているのは二人だけですが、影の効果がおもしろく、四人でほいさっ、ほいさっと息を合わせて働いているみたい。
 舞台のようで、しばらくみとれてしまいました。


 通路には、ちょうど掘りかけていた、うちの電気工事用の溝があります。
 それを一部利用することにして、棟梁GさんがAさん分の費用を、大幅に割引いてくれました。
 おかげでAさんも、すぐ工事を決意。
 そうするとうちも早く通路が整備できますし、四方うまくおさまりました。


 さらには、この件でAさんが棟梁Gさんに好印象を持ち、家づくりも依頼したくなったようです。
 将来の工事の際、Gさんたちが来るのなら、私たちもとても安心です。


 こんな風に、たいへん良い感じで、ものごとがまわっております。
 不幸はいつでも手に手を取って、連れ立ってやってきますが、幸運って単独行動が多いですよね。
 それなのに、今年のこの珍しいほどの幸運つづき。天に大感謝です。
 …願わくばあと数カ月、運がもちますように。


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 小さな家でも瓦を載せ始めました。
 この家はかわいいなあ。壁の色、どうしようかなあ。


 もし宿六が24時間、家にいるのでなければ、とりあえずこれくらいのうちを建てて、徐々に増築すればじゅうぶんだったような気も……

 作業員のみなさんも、この家をいたく気にいったらしく、「誰が住むの?誰のために建てたの?」とよく聞かれますが、そのこたえは私が知りたい。
 当分お手伝いさんなんて、ぜったい雇えないし。
 この家とまわりの土地を売ってしまうか、という冗談も出ていますが、私はやだよ…


 さてリマへの帰路は、できるだけ現場の人を乗せていきます。
 乗り合いバスしかなくて、みんな「通勤」に何時間もかかって大変だからです。
 棟梁Gさんはいつも、「さあ飛行機で帰るぞ〜」と言いながら、嬉しそうに車に乗り込みます。
 きのうは棟梁のほかに、猫番君と瓦職人もいっしょでした。


 瓦職人さんは、何度も国内線に乗ったことがあるのが、ちょっと御自慢のようです。
 途中、道に大穴(bache)があって、車がガタンとなったとき、「飛行機にもこういうbache、あるんだよ」と話し、まだ空の旅を知らない棟梁を感心させていました。


 …うちに帰って辞書を見たら、bacheにはほんとにエアポケットの意味もあるんですね。
 ひとつ賢くなりました。


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 いつものパンアメリカン道上で、しょっちゅう出会うグローリア社の保冷車。130507-11.jpg
 ミルクのタンクが二つ繋がって、へびのようにのたくって危ないので、なかなか追い越せません。

 同社のタンクを見るたびに、これに衝突すると冷たいミルクが噴き出してくるのかなあと、意味もなく思い浮かべてしまいます。

 アレキーパ生まれの同社は、一時期米国のカーネーション・ブランドの傘下にあったらしく、それでこういう(カーネーションの中の牛)マークになったのでしょうね。
 デザイン的には、本家よりこっちのほうが、気がきいてますね。


 20年あまり前、宿六が東京にいたころ、さかんにグローリア缶を懐かしがり、苦手な絵まで描いて、牛のマークを説明しようとしたのを思い出します。

 そのくせ帰国してからは、見向きもしません、小岩井農場牛乳ばかり懐かしがっています。
 私は紙パックの味がする日本のミルク、苦手だけどなあ。
 当地のラ・モリーナ農科大のミルクのほうが、牛牛していておいしいです。



 …あっそうそう、先日のスミレですが、テラスに出しきれないぶんを室内に置き、ちょっと新聞紙で蓋をしておいたら、一晩でカビが〜!さすがリマ!
 あすはなんとか場所作って、外に出します。


2013年5月8日(水)その2 午後10時の室温22℃ 湿度70% 曇り
<本棚の作り方>

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1)まず、きれいに仕上げた壁に、容赦なく切れ目を入れます。
(あ〜もったいない…)



 本日はまた、宿六だけが現場へ行きました。
 「どうしてももう一度、窓と扉の寸法を確認しないと気が済まない、仕事始められない」というエステバン師匠が同行。


 私は昨晩、師匠の次男君の論文発表ビデオを編集していて、夜更かししすぎてダウン。
 午前中は寝ていようと思ったのに、「ここの寸法はこれでいいのか」「本棚がスイッチの上になってしまうがどうするか」等々、現場からの電話で何度も起こされ、これだったら私も行ったほうがよかった……


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2)木枠で作ったセメントの板を、壁の切れ目に押し込み、固定します。
これで書架の棚の出来上がり。



 この写真のおじさんは、副棟梁Zさんです。
 Zさんの足元にご注目。セメント袋を破いて巻きつけてあります、靴下のかわりかなっ?


 そういえば、前からなんとなくZさんの足つきって、サッカーぽい感じがする…と思っていたのですが、ほんとに昔は選手を目指していたのだとか。
 で、サッカー→ガテン系ときて、ちょっと意外なのが音楽の趣味。


 よく現場の壁に携帯をぶらさげ、musica romantica(かなり甘ったるいバラードとかですね^_^)を聞いておられます。
 手下の若者たちが物陰で、「うえ〜、また大将の musica romantica だー、たまら〜ん!」と言っているのを、聞いちゃったこともあります。


 ふふふ、人間って楽しい。


2013年5月10日(金) 正午の室温23℃ 湿度71% 曇り
<ペルー式・現場の工夫いろいろ>

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 やっぱりセメント袋を破いたのを脚に巻いている、副棟梁Zさん。

 きのう木曜は、musica romanticaより、80年代ポップスの気分だったようです。
 マドンナの古〜い曲に合わせて鼻歌〜♪(同世代ですね……)をうたいながら、セメントで横板を作っているところ。


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 棚板の作りかた。
 1)セメントの空き袋を敷いた上に、ありあわせの材木と煉瓦でちょちょいっと型を作る。
 2)そこにセメントを流し、コテでならす。以上終り。


 翌日には固まって、みごと本棚に化けるはずです。
 (なんとなく、羊羹かなにか、寒天ベースのお菓子が作りたくなった…)


 この工事全般を見ていてつくづく思うのですが、ペルーの人たちは、ありあわせのものを活用する名人ですね。
 セメントの空き袋だって、Zさんのゲートル?だけじゃなく、実にいろいろ使い道があるようです。


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 小さい本棚はもう形が出来上がりました。
 このあとセメントを塗って仕上げるそうです。


 これは頑丈そうでいいですねえ。
 私も宿六も本は見境なく買ってしまうので、こういうのがいくつもあると助かります。


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 このヘルメットは、セメント注入専用になってしまったらしく。

 現場でのヘルメット着用は、もちろん法律で義務づけられていますが、みなさんうっとおしがって使いたがらないようです。
 どっちにしても、うちみたいな郊外の現場では、うるさいこともあまり言われないのですが。
 (ここにも一、二度役所の人が、建築許可があるかどうかを見に来ただけです)


 でも都市部ではもっと厳しいようです。
 棟梁Gさんが掛け持ちしているサン・イシドロ地区のビル現場では、つい先日も作業員がヘルメットをかぶっていなかったせいで、数日間の工事停止処分を食らったばかりだそうです。


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棟梁Gさんは、暖炉作りに没頭中。

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 薪をしまう空間の作り方。
 やはりありあわせの木切れと煉瓦で、上の煉瓦を支えています。


 以前アパートに作った暖炉の具合がよかったので、ほぼ同じ寸法で再現してもらっています。
 特に煉瓦置き場は、ハシンタ猫が領土にしているので、まったく同じに作ってやりたいのです…(猫馬鹿)



 煉瓦とセメントの細工は楽しそうで、私もなんかやってみたくなりました!
 将来、パン焼き窯とか作ってみようかな…(作ったところであまり使いそうにはないけど、庭の飾りとしても雰囲気あるし…)


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 職人さんたちは、煉瓦を軽くトンカチで叩くだけで、思う通りの大きさに変えてしまいます。
 …もちろんたまには力余って、粉砕しちゃうこともあるようですが(笑)
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 この棚も、そうやってトンカチで幅を削った煉瓦で作ってあります。
 これをあとからセメントできれいに塗り込むわけです。


 ここはゆくゆく、スーツケース置き場になる予定。

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 奥の壁も順調に作業が進み、きのうは柱の枠にコンクリートを流し込んでいました。
 まだ晴れると日射しが強いので、猫番君はアラビア風ほっかむり。


 下に私のかわいそうなポプラの木が写っています。
 去年植えるのを早まってしまい、その後なかなか電気を引いてもらえず、そのせいで井戸水が汲み出せず、結局大半は立ち枯れてしまいました。
 園芸店のフランクリン君が申し訳ながって、植え替えてくれるというのですが、悪かったのは愚図の電気会社です…


 工事が始まってからは、植物好きのI君がときどき井戸水をやってくれるので、十数本は復活、元気に育っています。
 でも枯れたのも、作業員の洗濯干し場などとして、しっかり活用されています…(^_^;)


 奥の壁の工事が終ったら枯れたのを抜いて、かわりにワランゴ(とげだらけのアカシアの仲間)をみっしりと植えてもらう予定です、泥棒よけにいちばんですから。

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 明日からは、敷地と通路の境の壁を作り始めるそうです。
 基礎の穴掘りは、たいへんなので重機を入れる予定でした。
 でも、市役所の工事現場に横取りされてしまったので(どこもかしこも工事ばっかりしてますもんね)、結局いつも通り人海戦術ということに…


 壁に使うのは、穴があいていない、ずしっと重い煉瓦(kingkong de mano)です。
 接着剤となるセメントの水分を吸い取らないように、こうして使う前にしっかり湿らせないとならないそうです。
 (現場ではほんとよく水を使うので、井戸があって大助かりです)


 さりげなくカメラ目線のお兄さんの笑顔、いいですね!

 (ところで、家本体に使った穴あき煉瓦ですが、その強度については、私はたいへんたいへん疑わしく思っております。
 でも、郷に入れば郷に従え方式で建てるほかなかったですし、深くは考えないことに決めました)


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 こちらも境界の壁の準備。
 中に入れる鉄筋を編んでいます。
 (いつ行っても、みんな手を休めず働いていて、本当に感心です…)


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 隣人Aさんの上下水道工事も、すごい勢いで穴掘りが進んでいます。
 いつのまにこんなに掘ったの?!


 しかしこれだけの長さの上下水道管、費用はたいへんだろうなあ…

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 井戸端で一息つく、I君とチスピータ君。

 井戸はいま深さ7,8メートルくらい。
 やっと湿った土が出始めたそうです。


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 さてまた井戸掘り作業に戻ります。
 (もう夕方ですが、先日などは、結局明け方二時まで掘っていたそうです!)


 I君が地底に降りて、チスピータ君が掘った土を引き上げます。
 ここで使われているのも、滑車がひとつと、あとはいつも通り、ありあわせの材木だけです。


 チスピータ君が座っている大きな石は、なんと井戸を掘る途中に、ごろごろ出てきたんだそうです。
 重くて、引っ張り出すのがたいへんだった由。
 ここはルリン川の谷だから、むかし上流から流されてきた石なのかな?


 あとで庭石に使うことにしましょう。
 あちこち見るたびに、働いてくれたいろんな人たちを思い出す家となりそうです。



2013年5月11日(土) 午後1時の室温23.5℃ 湿度71% 晴れ(でも海辺のミラフローレス方面は、真白な雲の下)
<チームG、ひきつづき驀進中〜>

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 金曜日。
 隣人との境界線上に、前日の夕方には影も形もなかった、塀の基礎が出来ていました。
 うわああああ…信じられない!


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 35メートルの境界線のうち、すでに三分の二はコンクリートを流してあります。
 残りの部分も、穴を掘り終え(手掘りです、手掘り!)、鉄筋が立ててあります。
 いつのまにこんなに進めたのやら…


 このテキパキ感、だまそ氏には全然なかったので、現場放棄してくれて本当に良かったです。
 もちろん今は気候がさわやかで、だまそ氏が来た盛夏より、ずっと仕事がはかどるのは確かでしょうけど、それにしても!


 (奥に見えているのは、隣人Aさんの配管類)

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 台所に入ってみると、やはり前日にはなかったテーブルが、もう出来ています。
 今後はここで鍋物などもできそうです。


 リマのアパートの、薄暗く、穴倉めいた台所で苦節18年…
 (当地ではメイドさんが料理するのが基本ゆえ、広さに限りがあるアパートでは、台所を良い場所に作るという発想じたい「ない」ようです)
 これでやっと、風の吹き通る明るい場所で料理できるようになります。
 嬉しいけど嬉しくない…


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 昨日、副棟梁Zさんが作っていた棚板。
 案の定、セメント袋のしわがくっきり転写されていますが〜、あとで仕上げをするので問題はありません。


 (今日のZさんのBGMは、Queenでした。ぜったい同年代ですね……)

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 洗面台も着々と出来上がりつつあります。
 石の洗面ボールが、注文通りのサイズに上がってくるかどうか、それが気がかりですが…
 石材屋さんの仕事は、来週水曜にはできるそうなので、こわごわ楽しみにしています。


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 食品庫の棚もどんどん進んでいます。
 なるほど、大きな棚にはちゃんと鉄筋を入れるんですね、これは心強いです。


 ここは郊外なので、今までよりもっと食品のストックが必要になりそうです(特に和食材料)。
 それで食品庫のスペースをとったのですが、行き場のないクリスマスツリーもここにしまうことになってしまいました…


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 暖炉は次の段へと進み、再びありあわせでつっかい棒をして、乾かしています。
 あまった配管材料まで動員されてます。
 誰もさわるな!というメッセージが、しっかり伝わってきます。


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 テレビの下の棚。
 これだけはあいにく、作業の人が寸法をまちがえたことに、気づいてしまいました…
 棚にDVDやスピーカーシステムを並べて入れるのに、最低90センチは必要なのですが、85センチしかありません…


 やだなー、私は言いたくないな…
 ということで、土曜の朝いちばんに、宿六に電話してもらうことに。


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 だいたい毎日、私たちは工事が終る5時半ごろに現場に到着します。
 必ず持っていくことにしているジュースやソーダクラッカーを配ると、それがちょうどよい合図になって、仕事の手を止める、という感じです。


 さいきんは、みんな井戸のまわりに集まって、地底のI君をからかったりしながら、帰宅前に一息つくのが習慣になっているようです。

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 井戸端会議中のみなさん。
 なんだかいつも冗談を言い合っていて、その仲の良さ、はたでみていても気持がいいです。


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 「お〜い、お前のぶんのクラッカー、落とすからな!」
 井戸の底の甥っ子(I君)を気づかう猫番君。


 I君はまた、深夜まで残業するのかな?
 井戸の上に、もうちゃんと照明器具がセットしてあります。ああ大変そう…


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 帰り際、小さい家の屋根の形が、ちょっとおかしいことに気づきました。
 左側がぐぐっと持ち上がっています。


 ま、ぜんぶ手作りですしね…
 少し歪んでいるくらいのほうが、時代のついた屋根みたいでいいかな?


 アンデスによくある、古びて波打った瓦屋根、大好きなんですが、妙なところで夢が物質化してしまいました〜


2013年5月13日(月) 午後10時の室温23℃ 湿度70% 晴れ
<窓と扉の進行状況>


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 パチャカマックのうちは、セメントがしっかり乾くまで、これから二、三カ月はほうっておかないとなりません。
 問題は、そのあいだに扉や窓の制作が進まないと、乾燥期間が過ぎても引越しできずに困る、ということです。
 ちょっとでも早く、いま住んでいるアパートを修理し、賃貸に出さないと、これからの生活がたいへんですから…(-_-)


 それでも私は、年末までに引越せればいいのでは…(まだ引越し荷物の心配もしたくないし…)、とのんきにかまえていますが、経済担当相の宿六はそういうわけにもいきません。
 エステバン師匠からは目を離さない!と、やる気じゅうぶんです。


 予定では、まず玄関扉、それから洗面所まわりの窓と扉を、集中的に仕上げてもらいます。
 そうすれば洗面所の内装を、進めることができますから。


 土曜には、写真の通り、窓枠はだいぶ出来上がっていたそうで、宿六もほっとした顔で帰宅。

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窓つきの玄関扉…になるはずの枠。


 いろいろ相談の上、エステバン師匠は窓、師匠のご近所のパブロさんが扉、と分業することになりました。
 (ペルーでも最近は、つづりをまちがった英語名(笑)みたいな、一種のキラキラネームばかりなので、このお二方のような古風な名を聞くとほっとしますね…)


 パブロさんのところは息子さんが三人で、一人は大学に進んで技術者となり、残る二人はお父さんの跡を継ぐため大工の修行中だとか。
 ペルーはほんと、こういう幸せなお父さん、多いですね!


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 当初、エステバンさん制作のアパートの窓は、ぜんぶはずして新居に持っていくつもりでした。
 でも冷静に考えると、引越しの段取りが恐ろしく複雑になるので、やめにしました。


 ただ、うんと手のかかる窓格子五枚と、彫刻がきれいな扉四枚だけ、流用することにしました。
 写真は新しい窓枠に、古い格子を合わせてみているところ。


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 …格子窓はもちろん、ひとえにお猫さまの安全のためです。

 猫たちも、こんどの家では庭に出してやりたいと、最初は思っていました。
 しかしアパート育ちのシニア猫に、無理は禁物。
 庭にはいろいろ野生動物??が来ますし、またなんといっても当地には、猫を健康食品とみなすヤカラなんぞもいますので。


 でも、すべての窓に格子をつけると、費用がたいへんです。
 そこで、今回はできるだけ格子の間隔を大きく、簡略化することにしました。
 写真は、猫が通れない大きさはどれほどか、大のおとな数人で検討しているところ。


 …庭の野生動物というと、現場では水をどんどん流しているせいか、さいきんサソリは見かけなくなったそうです。
 先住者たるペルーイシチドリ君もいなくなってしまいましたが、猫番君の話では、夜になるとひそかに戻ってきている模様。


 また先日は、敷地内でフクロウのひなを見つけたそうです。
 どれだけ田舎なの、って感じですが、だから好きですパチャカマック。


<祝日明けの月曜日>

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 今日の現場には、正・副どちらの棟梁も顔を出していませんでした。
 「きのうが母の日だったから……」と言葉をにごすI君。
 リマではやたら賑やかに母の日を祝うので、たぶんお酒を過ごしたかなにかで、今日は自主休業なのでしょう。


 それでも甥っ子たちは、ちゃんと働いているので偉いです。
 叔父さんである棟梁がいなくても、別の叔父さん(猫番君)が目を光らせていますし、血縁関係があるだけに逃げ場がないよ、ということなのかもしれませんが。


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 鋭意制作中のお隣さんとの境界壁には、ホースを通す穴があいています。
 まだうちの井戸が完成しなくて、今しばらくはお隣の井戸を使わせてもらわないとならないからです。


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 今日はこの塀の基礎を、ぜんぶ作ったそうです。
 猫番君のオレンジ色の作業服、秋の夕日にひときわ鮮やかですね。


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 セメントと砂をせっせと調合する若者たち。
 こうして地面で混ぜちゃうものだから、あちこちでコンクリートが固まり、スケートリンクみたいにかちかちになっています。


 あとで困るなあ…と思ってましたが、いよいよ現場を引き揚げるときが来たら(神様がお望みならばそれは今月中のはず…)、ちゃんとスコップではがしてくれる由。

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制作途中の、書庫の大きな本棚。

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これは月面ではなく、棚板の表面。
セメント袋のしわを、実にみごとに再現しておりますが…


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仕上げるとこうなるので、大丈夫なのです。
壁と同色で塗ると、書庫が狭い感じにならなくて、いいでしょうね。


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今日は空が青いなあ。

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 やっと水が出始めた井戸の底にも、秋の青空が映っています。

 まだ3、4メートルは掘らないとならないようですが、I君は水びたしで作業を続けることになるのでしょうか???
 棟梁が二日酔い治して出てきたら、聞いてみます。


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 帰路、旧パンアメリカン道沿いの店をちょっとのぞきます。

 ヨーロッパの古い共同洗濯場にあるような、石の洗濯槽がほしかったのですが、予算がもうぎりぎりゆえ、安価なセメント製をこのへんで探すことにしました。
 店頭のころころした娘さんがとてもかわいかったので、たぶんここで買うことになると思います。


 となりには、ペルー版猫ちぐら?なんかも並べたカゴ屋さんがあります。
 何か注文してみようかな… いいのが手に入ったらまた改めてご報告。
 ペルーではなんでも注文で作ってもらえて、しかもお手頃価格なのが、ほんと楽しいです。



2013年5月14日(火) 午後10時の室温23℃ 湿度69% 曇り
<どんぐりアパート>


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秋ですねえ。
今年はお天気がよくもってます。




 今朝、洗面所の灯りのスイッチを押すなり、電球がボンっ!と破裂。
 あたり一面に砕け散る、というプチ惨事が起きました。


 ただちに猫を上階に幽閉(ガラス片をなめると大変なので)、寝ぼけ眼のまま丹念に掃除機をかけ、念のため何回か雑巾がけもし…
 ただでさえ疲れがたまっていたところに、とどめを刺された感じでした。


 あ〜何もかもいやになってしまった!疲れた疲れた!
 今日もこれから、三度も食事作るわけ?ありえない!!


 ……というような日は、植物の世話をするに限ります。
 カメラ持ってテラスに上がることにいたします。


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テラスのどんぐりアパート群。
市場の野菜用プラスティック籠の三階建てが、現在三棟。
どんぐりのほか、イチョウや山桜、ニオイスミレなどが入居しています。



 1月以来の現場さわぎで、家中ほったらかしですが、このどんぐりアパートだけは欠かさず毎日チェックしています。
 pacollamaさんcalleretiroさんが、御手ずからご採取下さった野尻湖のどんぐりたちの、発芽を楽しみにしているところなのです。


 昨年とつぜん、
 「リマで柏餅を作りたいのですが、カシワのどんぐり、ご近所に落ちてませんか?」
 …などと、とんでもないわがままを言いだした私のために、お二方が探してくださった貴重などんぐりです。


 あいにく去年はカシワのはずれ年だったらしく、いろいろなドングラー・サイトでもそんな話を読みました。
 でも、お二人が見つけてくださった中には、コナラ、ナラガシワ、ミズナラと思われるどんぐりが入っていました。
 いずれも、地方によっては柏餅に使われている種類なんだそうです!!


 もし無事に発芽したとしても、地球の反対側でうまく育ってくれるかどうか、そればっかりは試してみないとわかりません。
 でもこれが、「リマで新鮮な葉っぱの柏餅を作る」という贅沢への、第一歩なのはまちがいありません。
 楽しみ〜♪


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 いくつかのどんぐりは、今こんな状態です。
 根はしっかり伸びていて、うまくいけばそろそろ芽が立ちあがってくるはずですが…


 これからはリマの冬の湿気がこわいので、水のやりすぎには気をつけなくては。
 できるだけ空気が通るように、今日はどんぐりアパート全体を上げ底にする工夫をしてみました。


 ところでリマでは、便利な園芸用品はほとんど手に入りません。
 タネまきポットなんか見たこともないので、園芸店の知人のお知恵拝借で、発泡スチロールの使い捨てコップを使っております。


 (苗用の黒いビニール袋なら、専門店で扱っているようです。
 でもたしか百枚単位なので、買うのはしばらくタネの様子を見てからにします…)


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 一足早く発芽したイチョウ。
 ぎんなんって、食べないとこうなるのですね!
 指先ほどの大きさの、でもちゃんとイチョウらしい葉が出て、昨年の金色のイチョウ並木を思い出しております……(やっぱり東京の秋は、イチョウの黄色ですよね)


 南半球のイチョウの分布は、南緯20〜50度の間だそうですが、はたして南緯12度のリマでも育ってくれるでしょうか?
 フンボルト寒流のおかげでけっこう涼しい街ですから、なんとかなるかな?




2013年5月15日(水) 午後11時の室温23℃ 湿度72% 晴れ
<もうヨレヨレですが今日も現場へ>


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 暖炉は、炉の部分まで到達。

 アパートの暖炉を作ったときは、職人さんがアーチの仕上げに失敗、変な形になってしまいました(写真右)。
 でもさすがはチームG、ベニヤの板きれとありあわせの煉瓦で、うまいこと型取りしています。


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 台所の横の食糧庫(兼・クリスマスツリー置き場…)。
 きち〜っと棚を仕上げてくれているところ。


 この小部屋は駐車場に近く、買い物を運び込むための裏口がついています。
 われながらちょっと良い考えだったと、ひとりで悦に入っております。


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 井戸端会議。
 井戸の水がどんどん出始めたので、強力なモーターを三日間ほど借りて水を干さないと、もう作業が続けられない、とのこと。


 副棟梁Zさんは、やっぱりセメント袋の紙を脚に巻いていますね。
 理由を聞きたいけど、なんとなく聞きにくいなあ…


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水に腰まで浸かってがんばるチスピータ君。
そろそろ寒くなるから、早く終えないとね。


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 水と言えば。
 隣人Aさんの配線・配管工事の溝を固めるため、先週少し水を撒いていたのですが、そこにもうこんなに緑が萌え出ています。
 放っておけばカラカラの荒れ地ながら、ロマス同様、雨の機会を待ち受ける無数のタネが眠っているようです。


 と、いうことは、庭を作り始めたらもれなく雑草とのたたかいがついてきますね…

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隣人との境の塀も、順調に進んでいます。
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 例によっての、あぶなっかしい作業台の上で、重い煉瓦を積む猫番君。


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あれっ、今日はノリがいいですね!
明るい笑顔が出たところで、みなさま、またあした!



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