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2013年4月の「一服いかが?」その2



2013年4月16日(火)
<木と石を求めてリマ縦断>


2013年4月17日(水)
<隣人さんの登記完了>


2013年4月20日(土)
<資材は急には届かない>


2013年4月21日(日)
<瓦屋根はじわじわと成長中>
<日曜の市場>


2013年4月25日(木)
ingenieroの誕生>
<初めて重機がやってきた…>


2013年4月27日(土)
<私の騾馬ちゃん号>


2013年4月28日(日)
<アルゲダスもびっくり…>



2013年4月16日(火) 午後7時半の室温23℃ 湿度63% ほとんど雲ひとつない快晴!の日でした
<木と石を求めてリマ縦断>


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 月曜日は、ドアや窓、床のための木材を探しに出かけました。

 エステバン師匠は、小売の材木店を数十軒!はまわって安いのを探す、というのですが…
 もしその木がじゅうぶん乾燥していないと、数カ月よぶんに待たなくてはならなくなります。
 今までもそのせいで、家具の納品はいつも数カ月遅れでしたが、家が出来かかっている今、それはすごく困ります。


 そこで宿六は、材木最大手のBozovich社に、むりやりエステバン師匠を引っ張っていくことにしました。
 この会社では、十数年前にオーナー誘拐事件があったため、警備は非常に厳重です。


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 Lurinにある会社の敷地は、ざっと55000平方メートル。
 倉庫も巨大です。
 白いビニールで覆われているのは、すべて輸出先が決まっている材木だそうです。
 景気がよさそうでいいな〜


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親切な会社の人と、興味津津のエステバン師匠


 この大会社が、まだアマゾンの巨木の輪切り!みたいな原始的な商品を扱っていたころから、エステバンさんは知っているそうです。
 会社の人のお父さんも覚えているそうで、昔話で盛り上がっていました。
 エステバンさんという人は、ほんとに物静かなのに、どこにいっても人の心をぱっとつかむんですよね。


 私はこういう大手が、うちみたいな超小口のお客、相手にしてくれるのかな?と危ぶんでいましたが、とても親切でした。
 ついでに床板の貼り方なども注意点を教えてくれて、助かりました。
 セメントを流したあと、二か月は乾かしてからでないと、ゆがみなどの問題が起きる由。


 会社の人から、パチャカマックに引越すわけを聞かれ、Lima ya esta muy... (リマはもうひどく…)と言い淀んだところで、すかさず...tugurizada.と引き継いでくれて、まさにその単語を思い浮かべていたので笑ってしまいました。
 (tugurizarは、密集化、ではちょっと毒が足らない訳ですが、まあそのへんにしときましょう…)


 この人もやはりリマを離れて、も少し南の海辺、San Bartoloに住んでいるそうです。優雅だわねえ。

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 これは中国へ行く材木だそうです。
 むこうでは、同社はBig Treeの名で知られている由、ということは「大樹」の略字なんでしょうね。



 さてエステバン師匠は、会社訪問は大いに楽しんだものの、「やっぱり高いよ、ここは」とまだ不満なご様子。
 でも、同社の倉庫ではキズものは丁寧にはねていましたし、乾燥窯を使って水分はきっちり12%にコントロール、またジャングルで違法な伐採はしていないという証明等々、さまざまなプラスαがあります。


 それを考えると、これから小売店を探しまわるより、結局時間も費用も節約になるような気がします。
 年内(笑)にはなんとか引越したいので、時間節約を優先したいと思います。


 …と、私は決定したので、あとの難題、エステバン師匠の説得は宿六の仕事、ということに。

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 床材もここで購入します。

 以前アパートで板(parquetと呼ばれる寄木タイプ)を敷いたときは、生木同然の材木がうちに運び込まれ、あろうことかその場で研磨しはじめたので、もーたいへんでした。
 しかもコールタールを直火で溶かして貼る、というプリミティブさ…
 大騒音と悪臭のせいで近所から苦情は来るわ、あとで縮んで隙間はできるわ、さいきんぺかぺか浮き始めているわで、parquetにはもう懲りごりです。


 この会社で扱っているのは、machihembradoと呼ばれる、すぐ設置できるように加工済みの床板です。
 今回は断然こちらにします。
 「ざねはぎ」というのかな、板の溝と突起を合わせて固定する、日本のフローリングと同じタイプです。


 木は強度の高いshihuahuacoですが、写真のようにいろんな色の混合タイプはだいぶ格安なので、そちらを選ぶつもりです。
 足元が冷えるといやな寝室と居間・食堂のみ、この板敷きにしようと思います。
 (ほかの部屋は、田舎家で土をもちこんでしまうと思うので、強度のある業務用テラコッタ・タイルの予定)


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 俺を写せ写せ〜!と叫んでいたお兄さん。はいはいわかったわかった…
 ペルーの人ってほんと写されたがりですよね、なんでかなー?


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こちらはふつうの瓦。


 近いので現場にまわります。
 すると棟梁Gさんが、めずらしく不機嫌そうにしていました。


 きのうのサッカー試合のせいで、何人かの作業員がお酒をすごして欠勤。
 今日から来るはずだった瓦職人も姿を現さず、いつもの忠義な甥っ子軍団だけが黙々と作業していました。
 明日は首に縄をかけてでも連れてくる〜、と怒るGさん。


 お願いだからダマソさんみたいにならないでね、ここまで来て三代目棟梁さがすのはいやだからね。

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こちらは見えないところに使う、平たい煉瓦、pastelero
たしかに焼き菓子っぽいです。


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 土曜日に注文した、arena gruesa(荒い砂)が到着。
 主に瓦の固定に使います。
 建材の注文は、大抵のものがダンプカー1杯(un volquete=16立方メートル)、という単位です…


 片田舎なので土地には余裕がありますが、別に大邸宅を作ってるわけじゃないんです。
 面積だって、いま住んでいるアパートと、さほど変わりません(中庭を囲んでいるぶん、外からは実際より大きく見えますが)。


 なのに一軒家というのは、本当にたくさんの建材が必要なんですね…
 アパートの合理性をしみじみ感じております。今さら遅いけど。


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昼食のTacu tacu con bistec
(煮豆をまぜて焼いたごはんの、焼き肉添え)


 おいしかったですが、こういうものばかり食べていると、日本人は病気になりますよね〜
 夜は、ほうれん草のおひたしをたくさん作りました。


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 エステバン師匠と棟梁Gさんは、いつのまにか仲良しになっていました。
 互いに仕事の紹介などもしているようです。


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 このあとは、エステバンさんに同行してもらい、家の外壁に貼る石の板(lajas)を探しにいきます。
 旧パンアメリカン道添いで、ジャガイモとサツマイモの収穫をしていたのでちょっとびっくり。
 やはりここはアンデスの延長だなあ。


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 まずはエステバンさんの記憶を頼りに、Villa Maria del Triunfoに行ってみましたが、タイルを扱う店しか見当たりません。
 タイル店の人の話では、古風な石の板は、このへんではぜんぜん売れなくなってしまった、とのこと。


 (ああなんかわかります、アンデス出身者が多い新興中流層は、家の外壁にまでテカテカしたタイルを貼りたがりますよね。
 趣味が良いとは言いかねますが、石造り風の家なんかアンデスで見飽きたわ、ということなのかも)


 La Molinaなら石屋もたくさんあるというので、はるばる遠征することに。
 San Felicia地区まで行くと、あったあった、石屋さんが並んでいます。
 エステバンさんの勧めで、lajas arequipenhas(アレキーパ産の石)を見せてもらいます。


 いろんな色がありますが、写真の、淡い虹色を帯びた白っぽい石が気にいりました。
 値段も意外にお手頃だったので、ほぼ即決。


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アレキーパ郊外(kotetsuさん見てる〜?)、Yuraの採掘場でとれる砂岩areniscaです。
砂岩は、この独特の風合いがいいですよね。




 このlajasは家の外壁の、地面に接するところにぐるりと貼って、壁を水から保護します。
 さいしょ、20センチの高さに切り揃えてもらうつもりでした(高さだけ揃えて、でも横幅は石によってばらばらになるわけです)。


 でも念のため、30センチでも見積もってもらうと、ちょっと考えてから「メートルあたりの価格は、20センチのと同じでいいわ」と言うのです。
 切り落としはどっちにしても捨てるから、というのがその理由…
 うーん、日本ではありえない気がする。ペルーならではの不思議な大ざっぱな善良さですよね。


 では、ということで、床上30センチまで貼ることにしました。
 かわら屋根とよくつりあって、ますます田舎風になりそうです。嬉しい。


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心はいっとき、いまごろ(4月)のアヤクーチョへ…


 石屋のアントニアさんは、アヤクーチョのカンガヨ出身
 あのへんの風景を知っているので、「今ごろはまだ一面の緑で、そこでたくさんの馬が草を食んで、きれいな眺めでしょうね」と、ひとしきり盛り上がりました


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 しばらく見ていないなあ、こういうアンデスの空は。
 行こうと思えば、すぐそこなのですが。


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 アントニアさんは、卵みたいなかわいい川石も扱っています。
 セメント袋にいっぱいつめたのが12ソル、今すぐ用途は思いつきませんが、買いたくなっちゃいますね。


 家のまわりに並べてセメントで固めるといい、と勧めてもらいましたが、それはちょっと私のスタイルではないぞ…(笑)
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 La Molinaは、95年にペルーに来たとき、さいしょに住んだ地区なので、なんともいえない懐かしさがあります。
 すごく発展して変わりましたが、良い思い出がいっぱいあるスーパーマーケット、San Jorgeは健在のようです。


 店員さんがみな感じ良くて、安くて質のいい生鮮食品が揃った店で、日本のふりかけなんかも置いてありました。(たしか元のオーナーは日系の方だったはず)
 わけあって無謀にもペルーまで逃げて来たものの、右も左もわからなかった当時、この店はずいぶん心の支えになってくれました。
 二階の雑貨コーナーでは、サルサのカセットテープ!を買ったりしてました、時の流れを感じますねー。


 その後、大手に吸収されたと聞いてましたが、地元での知名度を考慮してか、名前はそのまま残ったんですね。
 昔と同じ看板が懐かしいです。


 La Molinaにはめったに来ませんが、通りかかるたびに、すこし初心に戻れるような気がします。
 すぐにまた忘れてしまうのですけれど…


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 むかし散歩のときに眺めては、こんなうちに住みたいなあ…と憧れていたお屋敷の、りっぱな扉。
 にゃにゃにゃんと、きのう初めて知ったのですが、これもエステバンさんが関わった作品だったのでした!


 このちょっとしたアシエンダには、オランダ人の家族が暮らしていたそうです。
 そして1968年、家具職人の駆け出しだったエステバンさんが、師匠といっしょに扉を取りつけたのだそうです。
 木はもちろん耐久性にすぐれたセドロ(cedro)です。


 GoogleEarthでのぞいてみると、2000年代までは、お屋敷のまわりに芝が青々してきれいだったのが、去年かおととし、すべて取り壊されてしまったようです…
 つまり立派な扉のむこうは、さびしい更地なんですね(涙)


 どんどん変わっていくご近所同様、高級コンドミニアムにでも変わるのでしょうか?
 そのときこの扉は、どうなるのかなあ?
 できることなら、手に入れてエステバンさんに直してもらいたいです。
 でも時代ものの扉は大人気なので、たぶん次の嫁入り先は決まっているのでしょうね。


 かくして人は去って扉は残る……

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 この元アシエンダのすぐ裏手、かつては閑静なお屋敷町だったあたりも、山の上に巨大なアパートが林立し、すっかり風情がなくなってしまいましたね…

 上からの眺めはさぞいいでしょうけれど、丸見えになる下のお屋敷の人は、かなわないですよね。
 どんどん売却してはどこかへ逃げていくのも、無理はありません。
 いずれは、すべてが高級集合住宅にかわってしまうのかな。


 まったく諸行無常でございます。
 できるうちに現世を楽しんでおきましょう。
 あの世もそうそうわるいところではなかろう…とは思いますけど。



2013年4月17日(水) 午後9時半の室温23℃ 湿度68% 晴れのち曇り
<隣人さんの登記完了>


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日照時間がじわじわと減りつつあります。
午後のさいごの日ざしに、しがみついてお昼寝するハシンタ猫。
(たくさん詰め物をして、あとは焼くばかりの七面鳥みたい…)



 本日めでたく、転売した土地の、登記手続きが完了!
 晴れてAさん夫妻が、正式な隣人となりました。


 Aさんのお父さんの別荘も、未来の我が家の、ほんの数軒先にあるそうです。
 つまり、何かのときに頼れる隣人が一気に倍増したわけです、ありがたいことです。


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本日の現場。
窓を整えている棟梁Gさん。


 見たところきちっと出来ていますが、やはり手作り、どうしても図面の寸法とは微妙に違ってきます。
 それをよ〜く知っているエステバン師匠は、最終的な寸法がわかるまで、窓や扉の制作を始めたくないようです。
 まあ無理もないですが、ぐずぐずしていると引越しが遠のくばかりなので、なんとか説得・調整しなくてはなりません。
 (そのへんは宿六の担当です。
 やはりラテンアメリカ、男同士でずけずけ言い合ったほうが、簡単に片付くことが多いので)


 じっさいに暮らす上では、窓や扉の形が多少いびつで、隙間ができたとしても、(まあそりゃうすら寒くはありますが)困るほどではありません。
 リマの気候は穏やかで、冷房も暖房も、別になくても命に別条ないですもんね。


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 二週間ほど、ワヌコの実家へ収穫手伝いに行っていた猫番君も、現場に復帰。
 ご実家では、2,3ヘクタールもの畑で、ジャガイモやトウモロコシを作っているそうです。


 そうですよね、今頃のアンデスは、ちょうど楽しい収穫期ですよね。
 今年は雨が多すぎて、残念ながらちょっと不作だったようですが。


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 台所がだいぶ出来上がってきました。
 ここが家中でいちばん見晴らしの良い、広い一角を占めています。
 そもそも、「毎日三食を家で作りつづける辛さを、いかに軽減するか?」という目的のため、建て始めた家ですので。


 台所もスペインの田舎風にしたくて、屋根に大きな傾斜をつけました。
 そういうのが思い描いたとおりに形になっていくのは、もちろん嬉しいですが、でもここで終生おさんどんに生きるのか…と思うと、かなり複雑…


 ある意味、自分で自分の牢屋を作ってるようなものですもんねー。
 自縄自縛というのは、だれでも多かれ少なかれ陥る罠ですけどねー。あ〜あ。


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 井戸の工法の謎はとけました。
 上部の壁をセメントで固めたとき、二か所に穴をあけておいたんだそうです(矢印の部分)。
 さらに掘り進んで、下の壁をセメントで固めるときには、この穴を利用して上からセメントを流し込むそうです。なるほど。


 今はまだ6,7メートルと思いますが、中にいると携帯も通じないとか。
 空気もあったりなかったりで、隣人さんに譲った井戸では、一度あやうく事故が起きるところだったそうです。


 モーター用フィルターを誰かがうっかり中に落としたので、いちばん細い作業員(通称フラキート(やせっぽち)君)の腰を縄でしばって、底まで吊り下ろしたところ、たちまち窒息しそうになって叫ぶので、大慌てで引きあげたそうです。あぶないあぶない…
 ところがエステバン師匠とG棟梁は、「やつを上まで引きずりだしたら、顔が紫色になってましたよ、うわはははは!」と大笑い。
 あのー、そこ、笑うところじゃないと思います……


 それにしても、そんな状況下でもしっかりフィルターはつかんだまま、生還したフラキート君、偉いです。
 本当に無事でよかったです。
 (あと、私は今まで知らなくてよかったです…
 知ってたら新しい井戸の注文、こわくてできなかったかも)


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夕日の中でせっせと働く甥っ子軍団。


 こちらでは寝室の壁の仕上げをしています。
 もとはクローゼットと寝室、二間に分かれていましたが、どうも狭いような気がして、現場で一部屋にかえてもらいました。
 おかげで全主婦あこがれ?のウォークイン・クローゼットはなくなってしまいましたが、よく考えると私は靴やカバンに興味がなく、ずら〜っと並べるほど持ってもいないので、変更して大正解。


 なんというか絵空事的にすてきでも、冷静に考えると自分は使わないだろうな、とわかったりしますね。
 浴室も検討し直して、今のところ浴槽は入れないつもりです。
 ゆっくりお風呂につかる時間なんて、過去17年、ほとんどなかったですから!


 かわりにシャワーブースのしっかりしたのを設置し、いずれもっと年をとったら、日本のひのき風呂でも取りつけます。
 …日本からひのき風呂を輸出している会社、ちゃんとあるんですよ〜(調査済み)。
 想像するだけでよい香りにうっとりします、そういう年をとる楽しみというのも、だんだん増やしていけるといいでしょね。
 あ、でもお手頃なひのきの手桶だけは、近いうちに取り寄せたいです!


 さて、寝室の奥の窓ぎわには、もちろん猫ベッドを配置します。
 夏には朝日が射し込むはずなので(少なくとも私の計算では…)、きっとお猫様の特等席になることでしょう。
 また追い追いご紹介しますが、かなり猫の都合にふりまわされながら、設計した家だったりもいたします…




2013年4月20日(土) 午後3時の室温23℃ 湿度70% 薄雲のかかった晴れ、ミラフローレス方面は霧のようです
<資材は急には届かない>

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セメントを積んで走っているトラックを見ると、親近感を覚える今日このごろ。


 建材の手配は、棟梁にまとめてやってもらう方法もありますが、私たちは自分で購入して現場に届けています。
 安い店を探して工夫する余地があるので、そういうのが好きな宿六は、手間を厭わずやっております(私だけだったらよーやらん)。
 建築ブームのパチャカマックやルリンには、建材屋さんが多く、調べてみるとかなり価格がまちまちなので、確かに手配のしがいはあるようです。


 うちで主に使っているセメントは、下の二種類です。

 Tipo 1(PM)…ふつうのセメント 1袋16.9ソル(約642円
 Tipo 5…井戸や水槽など、水まわり専用のセメント 1袋23.1ソル(約877円


 さて月曜の夕方、現場で顔を合わせた棟梁Gさんが、とつぜんこう言いだしました。
 「今日はもうふつうのセメントがなくて、かわりにTipo 5を、もう5袋も使っちゃいましたよ」


 きゃ〜!やめてやめて〜!なんてもったいないことを!…と、顔色を変える宿六。
 足りなくなる前に、ひとこと教えてくれればすむのですが〜!


 これだけは棟梁Gさんの欠点(笑)
 「資材は急には届かない」ということを、すぐ忘れてしまうのですね。

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今頃だけの、水のように澄み切った空。


 (左からつづく)
 そんなわけで、急遽「明朝いちばんでTipo 1(PM)を100袋!」と注文を入れましたが、当日になると建材屋さんのトラックが故障、配達も昼すぎになってしまうとの連絡が…


 これ、よくあることなんです。
 写真のトラックはお上品な積み方ですが、ふつうは積めるだけ積んで、できるだけ配達費を浮かそうとするので、そのせいで車も道路もすぐ破壊されてしまうのです。ペルーでは。


 しかたないので、近所に5袋ばかり買いに走って、それで数時間もたせてもらうことにしました。
 とても順調な工事ですが、こういう小さな番狂わせは年中です。
 だからやっぱり現場へは、毎日顔を出さないとなりません。


 ついでながら、注文した100袋の送料は、荷降ろし作業代こみ(flete y descarga)で、40ソル(約1434円)。
 宿六によると、とても良心的な配達料だそうです。LurinのDISCASAというお店です。


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 家の裏側のセメント塗りもほぼ完了。
 今はどんどん家の中を仕上げています。


 私は空間把握能力に欠けるので、自分で設計するのは大きな賭けでした。
 でも、思ったよりも思った通りの形に、一応ちゃんとなっているようです…


 外から見ると地面に伏したような姿で、やや閉鎖的な感じもあり、でも中に入ると意外に天井が高く、風がすうっと吹きわたるような家…
 というのが理想でしたが(要するに籠りやすい家)、けっこういい線いってるようです。


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 壁にもたせかけてあるこれ、なんだろう?と思ったら、井戸にセメントを流すときに使った、お手製の枠なんですね。
 掘り進めてから再利用するので、きれいに洗って干してあります。

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 玄関ミニホールは、屋根が片流れなので、奥の壁がうんと高くなりました。
 これを煉瓦で埋めてしまうのは惜しいと気づいたので、ちょっと工夫することに。


 水曜にこの状態だった壁が…→

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 →木曜日はこうなってました。

 高いところに、明りとりの窓をつけてもらった次第。
 このあとセメントで形を整え、もっと小さく仕上げます。


 色ガラスをはめたら、玄関を入ったところが楽しい雰囲気になって、いいでしょうね。
 特に鉛色のリマの冬には、色ガラスの光は気もちを明るくしてくれますから。


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今年さいしょの霧の晩(うちの近所の場合)


 木曜の夜おそく。
 窓が奇妙に明るいのに気づき、おそるおそる外を見たら、良かった未知との遭遇じゃなかった、一面の海霧に街の灯がぼうっと明るくにじんでいたのでした。
 秋ですねえ。


 今年ほどリマの夏を堪能、というか日光にさらされて過ごしたことはないので、霧をみると例年以上に嬉しいです。

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シリーズ・初心に帰る。


 金曜日は、できれば中庭に置きたい水盤(やめたほうがいいと思いつつ、どうしてもひっかかる水盤)を見に、ふたたびラ・モリーナ地区へ。
 あいかわらずカラリと明るく、暑い地区です。いいとこですよね。


 ペルーに越してきて、さいしょに借りたお宅の前を通りました。
 この窓のところだったんですよね、もう17,8年も前なのに、きれいに維持してますよね。


 もともと階下の大家さん夫妻が、娘さん一家のために作った二階です。
 でも娘さんは近所に家を建てることとなり、それで幸運な私が、新築の二階で一年を過ごしたのでした。


 その後、家ぬし業にめざめてしまった大家さん、さらに三階も増築したようです。
 いちど「またうちに戻って来ませんか?」と電話いただいたこともありました。


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 さて水盤の専門店へ。

 セメントに大理石の粉を混ぜて型どりしたような、お手軽なのではなくて、ちゃんと石を丸彫りして作っているお店です。
 この国籍不明のゾウさんはともかく〜(笑)、デザインさえ選べば、なかなか良いものを作ってもらえそうです。
 石はアンカシュ県のポマバンバ産、こういう古色がつきやすいそうで、そこも魅力です。


 そこで、小さな中庭でもおさまりそうな水盤、見積もってもらいましたが、うーんさすがに高い。
 残念ながら、この件はちょっと保留です。


 ひきつづき恐ろしい勢いでの資金流出…いえいえ、人生への投資!が続いているので、これからは生命維持に直接関係ない贅沢は、あとまわしにしないとなりません。

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 現場へまわると、屋根の仕上げが始まっていました。
 コンクリートを手作業で流して、がたがたになっていた屋根に、まずたっぷり砂とセメントを敷きます。


 「ずいぶん気前よく、たくさん塗るんだなあ…(冷や汗)」

 ……と、資材手配担当の宿六は、ふくざつな表情。
 まあこのへん、けっこう本気で雨が降るので、屋根はしっかりできていないとね。


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 屋根が平らになったところに、瓦職人さんが丁寧に一枚一枚、瓦を組んで載せていきます。

 やっぱりいいわねえ、テラコッタの色は…
 と、うっとり眺める私の横で、宿六は「作業が何日かかるか×日当」の暗算をしていたようです。すかんたこ。


 人間の作りがまったく違うので、宿六とは家をめぐって意見が合わないこともあります。
 でも結局すべては、私の晩年の備えだった「かんぽ」解約(T_T)…から始まっているので、さいごは必ず私が好きなように決めて、資金流出がつづく、というパターンです。


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これがほんとのボロボくん?


 リマへの帰路、年代物のボルボくんに遭遇。
 244GLの、Gがとれちゃったのかな…?


 だとしたら、1970年代なかばのはず…
 私が小学生のころ、今の私くらいの年齢だったおとーさんが、清水の舞台から飛び降りて乗っていた240と、ほとんど同じ年式……
 ちょっとじ〜んとしてしまいます。


 私もいま、時とともに分不相応の様相をかなり帯びつつある清水の舞台、やっておりますよ。
 宇宙のどこかにいるおとーさん。
 資金繰りはたいへんだけど、人材には大いに恵まれ、助かっています。


 できればあとは、なんとかさいごに水盤代だけは残るように、力を貸してください〜


2013年4月21日(日) 午後8時の室温23℃ 湿度66% 晴れ
<瓦屋根はじわじわと成長中>

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 土曜日、こんどは VOLVO 240GLに遭遇。
 これだと90年ごろかな? まだボルボがちゃんとボルボだったころの車ですよね…(涙)


 きのうのボロボ君とくらべると、とても保存がいいです。
 リマで新聞広告を出すとしたら、きっと bien conservadito と書き添えるでしょうね。


 さいきんVOLVOは、新旧とわずめっきり見かけなくなりました。
 アジア系を別とすると、BMW、VW、Peugeot、Renault がものすごく増えているような気がします。


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 パチャカマックへ行く途中、旧パンアメリカン道のすぐ脇で、いつも仔牛(それもかなりの大群)を売っている人がいます。
 で、日が暮れると、すぐ横の道から必ず山羊の大群が現れて、なんだか不思議なところなんですよね。


 パチャカマックは表通りはごちゃごちゃしていても、ひとすじ入ると畑だったりするので、ここも裏が農場かなにかなのかな?

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現場の El Che


 配線担当の彼は、とてもペルー人らしい面立ちですが、しゃべり方はアルゼンチン人そのもの!
 子供のころアルゼンチンへ移住し、ごくさいきん戻って来たばかりなんだとか。
 とーぜん現場では、el Che と呼ばれています〜


 「ペルー料理は、調味料使いすぎ。
 やっぱり食事は、さっと焼いた牛肉に勝るものはありません!」
 と力説していました。
 故郷に再順応するのも、なかなかたいへんそうですね。


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田舎は空が広くていいなあ。


 棟梁Gさんの甥っ子軍団のひとり、いつも小さい家に泊り込んで、資材番をしてくれているI君。
 少しずつ瓦が敷かれていく屋根を、腕組みして眺めながら、


 「やっぱり三角屋根がいちばんですね。
 瓦を載せると、一段と映えていいんだなあ、まったく屋根はこれに限るなあ」


 そうしみじみと言います。きみ若いのによくわかってるねえ。

 El Che君とは正反対の、ワヌコらしいゆったりしたしゃべり方なので、I君と話していると、アンデスの暖かな谷間で日向ぼっこしているような気分になります。

 彼も五月になったら、いったんワヌコへ収穫に帰るそうです。
 そのご実家がまた、5ヘクタールとか10ヘクタールとか、とんでもない広さの畑を持っているらしいです。


<日曜の市場>

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 きょう日曜も、瓦職人さんは現場に行ったらしいのですが、私たちはもうヘトヘトでサボってしまいました。
 とはいえ、早朝からの市場めぐりはふだん通り。


 貴重などんぐりの苗床にする野菜かごを、追加で購入しました。
 それをさっそく綿密にチェックする猫たち。
 お役人様、これは密輸品じゃございませんぜ。


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 日曜市のため、はるばるワンカーヨからやって来る奥さんの野菜は、どれも丈夫なレタマの枝でくくってあります。
 レタマは乾季が花の盛りですから、きょうは鮮やかな黄色の花つき。
 あんまりすてきで、特に必要ないものまで買ってしまいました。
 写真はビーツとポロねぎです。どちらもひと束1ソル。


 奥さんは、毎週土曜の夜9時に、ワンカーヨ発リマ行きのバスに乗ってくるのだそうです。

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 奥さん先週は、クシューロ(アンデス産の念珠藻の一種)を持ってくるのを忘れて残念でしたが、今日はありました。

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 ほれぼれするような緑です。まさにエメラルド色。

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 アンデスのとれたてのマンサニージャと、黄色い花のエストラゴン。
 エストラゴンは、お酢の香りづけに使ってみようかと思います。


 いま準備しつつあるどんぐりその他の苗床の、繊細な水やりにちょうど良さそうな、小さいじょうろも購入。
 15ソルをまけてもらって、13ソル(約500円)でした。わりと高級品ですね。


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 まだしてなかった土地売買のお祝い。
 きょうは現場に行かないし、ひさしぶりにワインが飲める、ということで、お昼はまたまたパエリャ…
 でも今回のは、赤ピーマンが梅か桜みたいで、ちょっとよくありません??


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クシューロをサラダに入れると、こんな感じです。

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 このところペルーで目立っておいしくなったのは、オリーブ油とコーヒー。
 スペインのと比べても遜色ない、苦味のきいた本式のオリーブ漬けも、手に入るようになりました。幸せ。
 やればできるじゃないか〜ペルー人!



2013年4月25日(木) 午後6時の室温23℃ 湿度67% 快晴!
ingenieroの誕生>

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 エステバン師匠の次男君は、すでにおととし、名門サン・マルコス大学を卒業しています。
 でも仕事をしながら、ingeniero(訳は工学士でいいのかな、もうちょっと現実の資格に近い、技師というニュアンスがあるみたいなのですが…)の資格取得のため、勉強を続けていました。


 そして月曜日、教授による審査があり、次男君が私たちも呼んでくれました。
 子供がいないとなかなか経験できないことですから、もちろん馳せ参じました。


 発表と先生方の質問で、一時間ほど。
 次男君は、機械工学科で流体工学を専攻。
 研究テーマは、「乳製品加工工場における蒸気および冷却水の循環システムのデザイン」。
 (書きながら意味はわかっておりません)


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 「時間内にテキパキおわらせなさい」と言いながら、何度も中断しては質問する、教授陣。
 まんなかの男性は、プロジェクター操作を手伝う同窓生。
 そして右の握りしめた手は、お母さんです!
 昨晩は心配で眠れなかったそうです(お母さんが)。


 出張の多い会社勤務のあいまを縫って、睡眠時間を削って仕上げた研究だったので、本人にも不満があったようですが、幸い評価は合格域内でした。

 その場でめでたく、ingenieroの資格が授与されました。
 嬉しい場面に立ち会えて、本当に良かったです。


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ほっとしたらちょうどお昼。
レストランでまずタコのサラダを注文。


 次男君、「いつパチャカマックに引っ越す予定ですか?」というので、「あなたのお父さん次第よ…」とこたえたら、みな大笑い。

 その後も材木のことでは、師匠とああでもないこうでもないと、もめていました。
 でも、多少デザインを変えることでやっと合意に達し、師匠の気が変わらないうちにと、大急ぎで例のBozovich社に注文。


 完全に乾いた木なので、来週から、ついに窓とドアの制作にとりかかってもらえます。
 恐ろしいほどの数の窓と扉なので、これからが長そうですけれど。


 いずれにしても、セメント塗りが終ったばかりの家は、二か月は乾かしたほうがいいそうです。
 なので多少余裕はありますが、うーん、とても二か月では終らないですね。
 私は、早くて半年…と見積もっています、なので10月か11月に引越せたら文句なしです。


 次男君が、「お父さん、もう『仕事がない』って文句だけは、とうぶん言わなくて済むね」というので、またみな大笑い。

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山もりのお肉を前に、幸せそうな仲良し母子。
(写真には写っていませんが、エステバン師匠は右側で幸せそうにしていました)


 牛・鶏・豚・牛ハツ・ソーセージ…とすべて乗った、ノアの箱舟のようなparrillada(炭焼きバーベキュー)ファミリーサイズ。
 私たちも30代まではよく食べましたが、実に久しぶり。


 子育ての苦労をしてない以上、このお母さんがうらやましい、なんて身勝手なことは、言いたいけど言いません〜
 こういう孝行息子君が、何かと私たちにも連絡をくれることに、今はとても満足しています。
 やっぱり嬉しいですよね、若い世代とつながりができるのは。


 がんばってるペルーの若い人が、ちゃんと正しく評価を受けた、とても気分の良い日でした!

<初めて重機がやってきた…>

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 床や壁に貼るタイルの到着。
 作業員のためのお休み処(テント)が、いっぱいになってしまいました。


 注文品は、どれもだいたい予定通りにきちっと届いて、変だなあ…
 さいきんのペルー、きちんとしすぎてて、なんかおかしい…


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 床材はグレス(超高温で焼成した、業務用テラコッタ)にしました。

 本音では、手でかたどって焼いたスペインのテラコッタ・タイルが理想ですが、リマで買うと、もう一軒家が建つほど高いので(←さほど誇張ではないです!)あきらめました。

 グレスも輸入品しかありませんが、お隣のコロンビア産の良いのが見つかりました。
 思ったより色や大きさのむらがあって、田舎風で、これならいい感じに仕上がりそう。
 しかも設置も掃除も、ごく簡単だそうです。


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 こちらは、洗面所などの壁に使う、travertino(トラバーチン、石灰質化学沈殿岩?)のタイル。
 ペルー産です。


 過去に藻や苔が生えたところに、小さな穴があいているのが、トラバーチンの味わいです。
 ところが棟梁Gさんが、
 「この穴に石膏をよーく摺り込んで、しっかり磨いてやると、大理石みたいにぴっかぴかに仕上がるんですよね!」
 と嬉しそうに言うので、慌てました。きゃ〜やめてやめて!


 そういえば、外壁用の渋い砂岩の板も、R君がなでなでしながら、
 「これは二回ほどラッカーをかけてやると、ぴっかぴかの濃い色に仕上がりますよ!」
 と嬉しそうに言うので、慌てました。きゃ〜!


 たしかにそういうぴっかぴかのお宅、アンデスの町には多いですけれど……
 これからの仕上げ段階では、ぜったい現場から目を離しちゃだめみたいです。


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私の大切な瓦が……心配。


 水曜日、小型の重機を持ち込んで盛り土の処理をする、というので、心配で心配で昼から現場へ。
 そこらじゅうに壊れものが積んであるので、ひやひやしましたが、この人、運転がとても上手です。


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 家の中の土をどんどん掻きだし、集めていきます。
 やっと家の中を、けつまづかずに歩けるようになりました。


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 土砂はまとめて、庭(…にいつかはなるはずの荒れ地)の一角に、積み上げていきます。
 名案と思ったのですが、なんかおおごとになってきた…


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みるみる山は高くなり…

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 あっというまに三つの山が。こ、こんなはずでは……
 いったいどこから、こんなに土が出たのでしょう???
 大きな棟梁Gさんが小さく見えます。


 重機は借りて正解でした。
 当初Gさんは、いつも通り(笑)人力でやると言ったのですが、それだったら何週間かかったことか。


 結局、さらにもうひと山できましたが、そちらは現場のゴミ含有度が高かったので、後日業者に頼んで廃棄することになりました。

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 ミスティ山が三つ、というのも落ち着かないので、とりあえず寄せておいてもらいました。
 (このさい富士塚(ミスティ塚?)でも作るか、というクレイジーな考えも、まったくないわけではないですが…)


 あとは近所の園芸店の、フランクリン君に相談します。
 今のところ考えているのは、「縮小版・アンデス西斜面」。


 右のほうには、モージェやイチュ(に似た低地でも育つ園芸種)を植えて、アンデスの高いところを表します。
 左には、サボテンやリュウゼツラン、ティランジアを植えて、標高千〜二千メートルあたりの感じに。
 そしてまんなかは、海辺のロマスのように石をごろごろ配し、アマンカイの苗(うちでタネから育てている十数鉢)を植え付けようか…と。


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 家の内外の盛り土が消えて、やっと全体が見えるようになりました。
 このところ毎日十人あまりの作業員が来ていますが、こんなに多くの人たちに働いて頂くことは、人生で二度とないでしょうねえ。


 みなさん紳士的ですし、毎日こうやって見まわりに来ては、「この窓小さくして下さい」とか、「ここに築山?作って下さい」とか言い暮らすのは、たいへん好みに合っております…

 もしいくらでも余裕があるなら、あと二、三軒建ててみたいくらいです!
 が、宿六は、もうじゅうぶんだそうです。


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 瓦の組み方。長年の謎がとけました。
 まず下に並べた瓦の継ぎ目に、セメントと砂を水溶きしたものを載せます。


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 その上にそっと、上の瓦を載せて固定します。

 完成後、屋根の上を歩くときは、必ずセメントを入れたところを踏まないといけないそうです。
 ほかのところをうっかり踏むと、かんたんに割れてしまう由。


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 盛り土を集める作業は、結局三時間あまりかかりました。
 その後もヒヤヒヤする展開でしたが、運転手さんがすごく上手だったので、おかげさまで瓦は無事でした。


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 唯一の事故は、この角がちょっと欠けたこと。
 これからセメントで仕上げる軒先なので、棟梁Gさんも苦笑いしただけでお咎めなし。


 (そういえば火曜には、パンアメリカン道でテレフォニカのトラックに軽〜く追突され、いよいよ来たか厄落とし?!と身構えてしまいました。
 きょう宿六が車を検査に持っていきましたが、問題はなかったようです)


 あまりにトラブル慣れしていて、順調だとびくびくしてしまう、というのも情けないなー

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中庭(になりかかっているところ)から見上げる、秋の空。


 その中庭の水盤、まだあきらめきれずにいましたが、なんでも解決してくれるR君が、いいことを教えてくれました。
 「べつに高価な石でなくても、セメントで安く作れますよ」


 たしかにそうです!発想の転換!
 小型の噴水なら、モーターもさいきんは数千円台からあるそうです。


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 それで思い出したのが、写真の水盤(グラナダのCarmen de la Victoria)。

 よし、これで行きます!
 同じ形で、ただ煉瓦は二段にして、内側にはトルコ石色のタイルでも貼れば、良い水槽になりそうです。
 そして噴水口は、費用しだいで彫刻石を使うか、あっさりセメントか金具で済ますか、決めればいいわけです。


 もちろんぜんぶ石で作ればご立派ですが、ちょっとルネサンス趣味すぎて、私のrustico(田園風)をめざす家には不釣り合い。
 煉瓦の控えめな感じはぴったりと思います。


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 リマへの帰路、追い越したトウモロコシ車。
 クスコでも今ごろ、こういう車や人がわんさか道に出ているでしょうね。


 そうそう今夜は、トウモロコシパンを焼いてみよう…

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 モトタクシーでの、椰子の木の運びかた。
 猫がしっぽ挙げて歩いているみたい。
 パチャカマックは、大通りの裏は農地ばかりなので、植木屋さんも多いところです。


 今日は野良用の車を修理に出したので、現場行きはさぼりましたが、明日はまた行かなくちゃ。


2013年4月27日(土) 午前零時半の室温23℃ 湿度69% 晴れのようです、お月さん見えているので
<私の騾馬ちゃん号>

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 先日の築山?ですが、だいたいこんなふうにしたいと夢想中です。
 あまり水のいらない、アンデス西斜面の岩場風に…
 そして右の丘のうしろには、アンデスの果樹かユーカリ(…は地力を弱めるからやめたほうがいいかな?)を数本植えれば、毎日うちの中でアンデス越えができるかな??



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 さて現場へ。
 いつも通るガソリンスタンドのコンビニエンス・ストアの、この緑豆坊や(と勝手に呼んでます)。
 あまりにかわいくなくて、目に焼き付いてしまっています。
 よくプレゼンで通りましたよね、このデザイン…


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 瓦を載せ終った、ポーチ側の屋根。
 …だんだん、長年思い描いたわが家!という感じになってきました。


 さあこの家で、私はたくさん絵を描きますぞ〜!(ってまだ出来てないけど)
 私と性格激似の祖母は50代、父は60歳になってすぐ亡くなったので、私だってあと何年の命だか、そればっかりはわかりません。
 でもこのうちで、文字通り地に足をつけて10年がんばれば、それなりのものは描けそうな気がしてきました。
 庭を作るだけでタイムアウト、となるやもしれませんが…


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 家の中では、配線・配管準備がほぼ完了。
 あすから(いえもう今日ですね)床にコンクリートを流し始めるので、実際の床の高さを示す目印が、あちこちに作ってあります。
 どこまでも手作りで、いいですねえ。


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帰路、都会の喧騒の中に、ぬっと出た満月。



 …あれ、お月さんの下の乗り合いバス、妙な名前ですね。

 MI MULTA、私の罰金号? 私の交通違反チケット号?!

 いえ、それはぜったいないない、一文字消えてしまったようです。
 だれかがおもしろがって、いたずらで消したのかもしれませんが。


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 ほんとはどんな名だったのでしょう? 考えられるのは、

 MI MULITA  私の騾馬ちゃん(バスを働きものの騾馬に見立てたのかな?)
 MI MULATA  私の混血娘(ちょっと色っぽい感じ?)
 MI MULETA  私のムレタ(牛を挑発する赤布のごとく、リマの街路をひらりひらりとすりぬける?…オーナーは闘牛ファン?)
 私としては、騾馬ちゃん号であってほしい気がします。


 さらに下には、TU ENVIDIA ES MI FORTALEZA とあります。
 同業者に向けた言葉でしょうか、「おまえの妬みが私の砦」…おまえの妬みが心の支え、くらいの感じ?やなやつ〜
 ああでも一理あるかも。妬みは他人の栄養にはなりえても、自分の栄養にはぜったいなんないものね。


 謎かけバスのおかげで、渋滞+赤信号のいっとき、ちょっと楽しく過ごせました。


2013年4月28日(日) 午後10時の室温23℃ 湿度70% 曇り
<アルゲダスもびっくり…>

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う、うさんくさ……


 土曜日は、先日の石材屋さんの工場へ。

 途中で見かけた広告。
 金製品の質屋を兼ねた高利貸し、のようですが、なんて堂々たるうさんくささでしょう。
 「インカキャッシュ」というのは、気前よくばっと貸してくれそうで(笑)、わるくない名称とは思いますが、金だからインカというのもなんか今更ですよねー


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 工場(こうば、と読んでください)は、リマからシエネギージャに向かう道の、峠あたりにあります。
 以前はこのへん、な〜んにもなかったんですよね。


 96年に百武彗星が来たときも、「ここなら真暗闇だから、靄の多いリマでも見えるかもしれない」ということで、深夜にわざわざ来てみたことがあります。
 ほんとに宇宙人にさらわれそうな暗闇でした(彗星は、それらしいのがぼんやり見えただけでしたが)。


 今ではぎっしりと家が立ち並び、お店もたくさんあります。
 百武彗星のころに、少し土地を不法占拠しておけばよかったですね…


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 石材店の、ごきげんなフェリックスさん。やはりアヤクーチョのご出身とのこと。
 まず洗面台のボールと、台所の流しについて、おじさんに相談します。


 というのは数年前、台所をプチ改装したとき、大奮発してヨーロッパのどこぞ製のステンレス・シンクを二つ購入。
 かっこいい二槽式にしたのですが…


 まず一槽は、ちょっと高いところから果物ナイフを落としただけで、みごとに穴があいてしまいました。
 (自分で修繕して使ってます…かっこわる)
 そしてもう一槽は、接着剤がはがれて宙ぶらりんになったまま、めんどくさくてもう半年ほど放ってあります。


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 かくして、「ステンレス製品、および、接着剤を使うぶらさげ式」が信用できなくなったので、ちょっと蹴ったくらいではびくともしない素材を探して、ここまでやってきた次第。

 フェリックスさんのお勧めは、リマック川やルリン川でとれる、この石。
 好みの色ですし、地元産でお手頃価格なので、これをざっくりとくりぬいて作ってもらうことにしました。


 煉瓦で頑丈な台を作り、その上にど〜んと据えようと思います。
 これだったら、少なくとも果物ナイフで穴は開かないでしょうし。


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 次に、気になる水盤。
 このカハマルカのpileta(水盤の噴水部分)は、高さ1メートルちょっとで、1600ソル(約6万円)だそうです。
 注文制作の場合は、15日くらいで出来るそうです。


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 左のもかわいいですが、うちの中庭には大きいし、ちょっとカハマルカ色も強すぎるかな?
 (ホテルLaguna Secaにもそっくりなのが置いてありますよね、あそこのは温泉のお湯が出るんだけど)


 そこで、自分でデザインしたのをフェリックスさんに見せると、すっかりお気に召したようで、
 「いいなーこれ。うちでコピー作っちゃってもいいですか?」ときかれました。どうぞどうぞ〜
 あっさりしているぶん、価格もだいぶ抑えられそうなので、たぶんこのうちのどれかでいきます。


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 帰路、リマには戻らず、左折してマンチャイ地区に入ります。
 ぴかぴかのまっすぐな道を、9キロばかりだ〜っと下ると、パチャカマックに出ることができます。


 マンチャイ地区は、道路の完成後、すっかり変わりました。
 以前は少々のスラム地区と、あとは広大な放牧場ばかりだったようですが、今ではぎっしり商店と住宅が立ち並んでいます。
 しかもその多くが、掘立て小屋などではなく、ちゃんと煉瓦で出来ています、大したものです。
 (煉瓦がどんなに高いか、さいきん身にしみておりますので………)
 地価もどんどん上がっているそうです。


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 中でも、少々ふつりあいなほどご立派で目を引くのが、建材店と教会と学校です。

 こちらは、国民的作家ホセ・マリア・アルゲダスの名を冠した学校。
 リマ郊外のこの変貌ぶりには、アルゲダスもびっくりでしょうね。
 残念ながら、あまり嬉しいびっくりではなさそうですけれど…


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……アルゲダスも、ものすごくビックリ。


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 あのアルゲダスの繊細な顔立ちが、どうしてこうなってしまうのか…
 なにか一服盛ったような瞳だ、と宿六が申します……


 親愛なるペルーのみなさんって、絵と歌はかなりへたですよね!^_^
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パチャカマックの道の十字架。


 殺伐としたホコリ色の、でもエネルギーに満ち満ちたマンチャイ地区を一気に駆け下ります。
 そして農地の緑が見え始めたら、もうパチャカマックです。


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 上のほうのマンチャイ地区は、からっとした上天気でしたが、ケブラーダ・ベルデには霧がまつわりついています。
 ロマスが緑に変わる日が、待ち遠しいなあ。


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 アンデスの雨季が終って、そろそろ一カ月。
 三月末には流れるプール状態だったルリン川は、早くも干上がり始めています。
 もう泳ぐ人もなく、地元の人が服や自転車を洗っているだけです。


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遅いお昼は、またあのレストランで。
おなじみのパパ・ア・ラ・ワンカイーナ


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白身魚(メロ)のフライ。

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現場では、床にコンクリートを流す作業が、だいぶはかどっていました。

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 中庭側の瓦積みもよくはかどって、とても中庭らしくなってきました。
 漠然と想像していたものが、こうして立体化するのって、かなり感動的です…じ〜ん。



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